▼バカップルか古今未曾有の鍾愛か。

ヒット作「女子高生Girls-High(以下女子高生G)」や、「メルカノ」などの著作で知られる大島永遠氏は家族がプロ漫画家という名家の御令嬢という話がある。女性視点から見た「女子高生」はシモネタが頻繁に散りばめられていて、初めて見た時は相当驚いたものである。
女性作家、そしてこの作画のクオリティからして男性作家顔負けの威風堂々としたシモネタの展開振りは余人の追随を許すものではないかなと信じ、大島氏の技法に圧巻されたのを憶えている。勿論、「女子高生G」以来、鷹嶺が大島作品のファンになったのは言うまでもない。

6195ec7e.jpgさて、大島氏の連載作品のひとつである「同棲レシピ」=©スクウェアエニックス・ヤングガンガン=は、発売日にも関わらず、我が近隣の書店には平積みはされていない。探すのに一苦労し、本棚にもう既刊のように並べられているのには愕然となった。つまりマイナーな作品と言うことになるのだろう。
タイトル通り主人公・平野剛士とヒロイン・藤原鈴音の恋人同士が同じアパートの部屋に同居する、いわゆる「同棲」をコンセプトにした物語なのだが、大島流はただその「同棲」という甘美な響きに甘んじるというわけではない。
基本的にはギャグ有り、涙ありのお約束のラブコメ路線の王道を進んでいるようだが、随所に「女子高生G」のように、理想的な生活、理想郷の現実はこうだという絶妙な説得力があって面白い。
確かに剛士と鈴音は鉄よりも固い結束力を誇り、俗に言う“バカップル”の烙印も押されがちだろう。まあ、しかし不思議と嫌味という感じがするわけでもなく、一連の流れの中で確実に二人の関係が成長してゆくプロセスを楽しめば面白い。
剛士と鈴音は互いの存在を鍾愛しているその存在感は決して馬鹿に出来ない。脇を固める竹ちゃんこと竹内美穂子や、松代隆生のある意味純粋一途な点も注視している。
竹ちゃんのビジュアルは大島作品の主要作品には多く登場している。要するにキャラが被っている・・・と言うことだろうが、大島氏のこだわりのように見ればそれはそれで良いと思う。

欠点と言えばひとつだけあげておこう。大島氏の作風を一連拝読していると判るが、基本路線はコメディ重視。ラブコメのコメ重視と言うことがあるので、画風とは逆に恋愛色を全面に押し出してもあまり実感が沸かない。理想の姿は現実はこんなものだよという訴求性をコンセプトにした作風が大島氏の真骨頂と言うことになるだろうか。

「同棲レシピ」のアニメ化或いはラジオドラマ化した場合の個人的配役予想を上げておきましょう。


平野剛士 … 立花 慎之介

藤原鈴音 … 喜多村 英梨

竹内美穂子 … 柚木 涼香
松代隆生 … 小西 克幸

柊虎太郎 … 檜山 修之
保谷智子 … 清水 愛

藤原鈴成 … 中田 譲治

・・・名言忘れた(笑)