徳永さんは意外にもサブカルへのタイアップが少ない。アニメでは、1990年のフジテレビ系・ドラゴンクエストのEDとして有名な「夢を信じて」。あと は、2005年から約1年間放送された、「ガイキング LEGEND OF DAIKU-MARYU」のED「ボクニデキルコト」のみであり、ゲームではこれがない。
2661cac8.jpgまあ、徳永さんのロジックを考えてみれば確かにアニメやゲームのタイアップは普通考えられない。
徳永さんのシングルで最大のセールスを記録したとされるその「夢を信じて」も、当時制作していた、アルバム「REALIZE」のコンセプト(“現実を把握する”)からは外れていたので(※)、当時徳永さんは「夢を信じて」を重要視していなかった。
しかし、皮肉なものである。徳永さん自身が重要視しなかった、「輝きながら…」や「風のエオリア」が大ヒットを飛ばし、「夢を信じて」も結果として最大のセールスを記録した。
自身の思いや思考と、徳永さんの曲を買ってくれるファンの思いのギャップは相当大きなものがあったのではないかと、推測される。
当時は徳永さん自身、「夢を信じて」のヒットを後目に、こういった曲を今後も書いて行きたいという気持ちにはならなかった。と述懐していたと言われる。

※「今の子供達に大切なことは、「夢を信じて」ということだ」と、徳永さんは言っている。つまり、夢や理想ではなく、今この現実をしっかりと把握する・・・というアルバムのコンセプトとは180度違った内容なわけだ。

徳永さんのこういう気持ちって言うのはわかるんだよね。自分の思いや考え方とは違った作品が評判よかったりするのって、ちょっと複雑な気分になったりする事もある。
僕の場合は・・・今だから言えるけど、テイルズオブシンフォニアの小説などは正直、自分の意識的にはあまり重要視していなかった。二次小説で僕自身の指標。徳永さんが指標としているアルバム「REALIZE」と同じ位置にあるのは、FEの小説「休日」なわけ。
「キミとともに」というタイトル自体も、当初は適当な言葉が思い浮かばなかった。徳永さんの曲「君をつれて」を連動させただけに過ぎなかったのだ。個人的 には淡々としたテンポの流れかと思ったが、TOS系の同人サイトでは話の俎上にあがったくらいで、僕自身、「何が良いんだろう?」と戸惑ったものだった。

話はそれたが、徳永さんにとって、「夢を信じて」の大ヒットがある意味でネガティブ思考へのターニングポイントとなった。以降、「白馬の王子様」像からの 脱皮、行き着く先を求めて彷言う苦悩の日々を迎えることになって行く。プロのアーティストと言うのは想像を絶するんだろうなあ。