真・三國無双6の応援小説、蜀漢残思の第11話です。
遅くなってゴメンナサイm(__)m

・・・って、誰も待ってなくても一応謝っておこう(;^ω^)

色々やることがあってね。まあ、その・・・いろいろとサ。
ま、多くは言わないよ。

今回はちょっと短いです。・・・別に一話の長さにこだわっているわけじゃないんだけどね(笑)

§ 今日の無双6閑話 §

(2011/05/03 記述)

PSN、復帰しませんね~。てゆうか、すごく大ごとになってりゃせんかい??
仕方が無いんでギャラリーモードで星彩・元姫、練師・尚香と鑑賞してますよ。
復旧したらDLCもっと増えていて欲しいなあと思います(^_^.)

では、また~
第11話 曹允恭、劉禅に洛陽に留まるよう進言す

 洛陽の魏朝廷が慌ただしくなってきた。賈充、荀勗、王戎、張華ら司馬昭の側近らが頻繁に禁裏に出入りすることが目立つようになった。それは諸臣・人民みな口を揃えるように、曹奐に対して禅譲への圧力を強めている、との見方がもっともだった。

 そんな色めく首都を他所に劉禅は発つ準備をしていた。魏朝廷から封じられた、幽州安楽県へ赴任するためのものである。
「劉禅さま」
 星彩が珍しく軽妙な声色で劉禅の側に歩み寄る。
「星彩。なんだ、何か嬉しそうだなぁ」
 彼女の綻んだ表情を見ると、劉禅も嬉しくなる。
「街で……面白い少年に会いました」
「ふむ……面白い?」
 その時だった。会話を遮るように、一人の朝臣が息を切らせて入ってきた。
「……允恭殿。どうされた、そんなに慌てて」
 曹志が前屈みに両手を膝小僧に当てて息を整える。
「あ……安楽公。よかったー……。幽州への出立は見送りです。しばらくお留まり下さい」
「え……? どういう事です……?」
 星彩が怪訝な表情に変え、曹志を見た。
「それがですね――――」

「さあ、どうぞ」
「は、では……」
 準備を止め、劉禅は席に着き曹志に茶を勧めた。星彩が淹れた、熱い茶である。
「南中の王、孟虬から贈られた南蛮の茶葉です」
「なんと。あの孟獲と祝融の子、孟虬ですか」
 曹志が感嘆する。
「征蜀軍が漢中を攻めている頃に届いたのですよ。美味しいでしょう」
「ええ。はい。なんていうか……まろやかで――――って、安楽公!」
 思わず乗り突っ込みをしてしまいかけた曹志が慌てて咳払いをする。くつくつと笑う劉禅。

「晋公はいよいよ、九錫を得て晋王に昇るようです」
「!?」
 その言葉を聞いて、星彩がぴくりと眉を動かした。
「ほう……晋公が、九錫を」
「陛下が五度、九錫と晋王の位を賜ろうとしたらしいが、晋公は都度、固辞してこられたとのこと」
「まあ、晋公のご性格では、さもあろうなあ」
 劉禅がそう言うと、曹志は苦虫をかみつぶしたような顔で言った。
「賈公閭や荀公曾らの奸計です。簒奪の布石は着々と……全く、世も末ですよ」
「ははは。だが允恭殿、晋公は徳高く英邁なお方だ。私もゆえに晋公の徳にすがり降った。お陰で、こうして安穏に暮らすことが出来るというもの」
 劉禅の言葉を聞きながら、星彩が瞼を閉じる。胸元で手を合わせ、何かを堪えるように。
「そうだ、そうでした。それです。……それで、晋公はしばらく安楽公に都にお留まりいただき、無聊を慰めてはくれないかと――――まあ、そんな感じなのでしょう」
「劉禅さまに、暇つぶしの相手を――――!」
 星彩が思わず、声を上げた。その瞬間、劉禅が手を翳して星彩を抑える。
「魏臣の私が晋公のご意向に沿うのは当然ですが、私などではお役に立ちませんでしょうに」
「それは違いますぞ。晋公はあなたを本当に買っておられる。お力になってあげてはどうかと」
 すると劉禅はすうっと瞳の色を深くして曹志を見た。
「曹允恭殿は、陳思王殿のご子息。つまりは魏王曹孟徳公の孫。……それを、簒奪に動く晋公を助けよとは――――ははは。面白いものですね」
 劉禅のその言葉に、曹志は苦笑して答えた。
「父は魏の宗室から外された身。私も武皇帝の孫とは言え、今や微禄を食むだけの臣下の末席。かといって司馬一族にも特な恩義は無い。魏室にも晋公にも義理は無いんですよ」
「だから、私のところにはよく来られるわけですね」
「“宿敵”曹劉両家の者が茶を交わす程に、世が平らになりつつあるということでは?」
「まさしく」
 劉禅が銚釐を取る。
「さあ、どうぞ」
「安楽公こそ」
 二人のやりとりを見ながら、星彩は思っていた。司馬昭がいよいよ、その遠大な野心をむき出しにしつつあるということを。そして、司馬昭が魏を簒奪するようなことがあれば、劉禅が秘めている想いを果たして叶えることが出来るのだろうか、と。

 劉禅は夕暮れまで曹志と談笑した。司馬昭の無聊を慰めるというのはともかくとして、曹志は司馬昭の晋王叙位と、九錫下賜の祝宴があることを見越して劉禅に洛陽にしばらく留まるよう、強く勧めてきたのである。
「聞いたか、星彩」
 門前で曹志を見送った後、その場で傍らの星彩に声を掛ける劉禅。
「はい」
 帰ってきた彼女の声はいつもの、儼然とした口調だった。
「晋公も、ついに覚悟を決められたかな」
「…………」
「どうした、星彩」
「いえ…………わが国を伐った曹魏が、もはや風前の灯火というのが……信じられません」
「時勢というのは、かくあるものなのかな」
 劉禅の呟きに、星彩は唇を噛みしめる。

「晋公は“高徳の御仁”だ、星彩。……そう、今の御世晋公に優る器はどこにも、おるまい」

 まったりとした口調。星彩が劉禅の横顔を見つめる。しかし、夕暮れの朱色の陽光が影となり、そう呟いた劉禅の表情を窺い知ることは出来なかった。
 その時だった。

「ま、長年掛けて仕込んだ酒を、ただ飲み干した――――ってだけかも知れない?」

 惚けたような少年の声に、星彩は目を瞠った。
「あ――――あなたは……!?」
「おぁら、あの時のお姉さん」
 きょとんとする劉禅をよそに、少年が星彩に向かってかくんと上体を折り曲げた。