最高にイイ奴、蚤の夫婦となり幸福を得る

無垢一途巨女至 高善人矮夫心温まる恋話


タカミネコウのTOD的こころ。

ラブ★コン


今日は“ノミの夫婦は佳い夫婦。ほのぼのラブラブ”「ラブ★コン」について考える。

口演:鷹岑 昊/原作:中原 アヤ(『ラブ★コン』集英社)
お囃子:世界中の誰よりきっと(中山美穂 with WANDS)

2000年代の少女漫画の世界も色々と風俗の変化が見えるようになって来ましたね。
私はゲームやアニメが好きですんでね、デジタルテレビってのを初めて買ってから、あの~BSデジタル放送ってんですか。其れ迄アナログで見られたBS衛星放送っていや、NHKの1,2チャンネルだけだったんですね。
それが液晶のデジタルテレビに変わって民放の番組までBSで観られた時のカルチャーショックってのはそらすごいものだったんですよ?
もう、私もね、ネットで話題になっていた深夜アニメとかがこっちでも生で見られた時の感動っていやぁ、忘れるものじゃあありませんな(笑)

斜め向かいに住んでいるアニメ好きの佐々本さん家の寛紀君も、ちょうど同じ時期に居間に液晶テレビを買って備え付けたみたい。綺麗な画面にお父さんとお母さんは歓声が絶えず、お姉さんの祐理ちゃんも同時に買ってきたDVDレコーダーに番組の予約をしまくっていましたね。
寛紀君はあまり興味は無かったみたいだけど、日曜の朝に起きてテレビをつけてみたらBSでラブ★コンというアニメをやっていたようですね。一話を観た寛紀 君はびっくりしました。これは面白いと思ったんでしょうね。大谷君、イイ奴だ。小泉純情で可愛いって、其れ迄いじりもしなかったDVDレコーダーのリモコ ンで毎週録画を掛けたんですねぇ。

『ラブ★コン』は主人公が小泉リサという170センチを超す高い身長の女子高生で、かたや吉岡美々ヒーローの大谷敦士君は160センチに満たない小柄の少年。がさつで女らしいところがない小泉と、負けん気の強い大谷は、何かがあるといつも口げんかばかりで先生お墨付きで「舞戸高校のオール阪神・巨人」という渾名で呼ばれていたんですが、不思議と息が合う。
小泉のボケと、大谷の突っ込みは見ていてとても気持ちが良くて、何故か温かい。後に登場してくるライバル・吉岡美々も、小泉の前で晒す本性は口が悪いが全く嫌みがないんですね。
初めはオール阪神・巨人と揶揄されてきたがゆえに煙たがっていた大谷の存在でしたが、自分の気持ちに気付かされてからは、途端に純情で一途。
相手の大谷も、結局は自分の気持ちに気付くだけだったので、終始、小泉に優しいんですね。
涙もろさを見せる一途な巨女と、巌のような鈍感さを持ちながらこれ以上にない程、思い人に向ける優しさの人・大谷。
彼らを支える親友達も必然的に優しくて、非現実的な人間関係なんですね。

でも寛紀君は机を叩くような勢いでこう言ってましたよ?
「今から見ればとてもあざといけど、優しさに溢れた作品は、やっぱり面白い」
そうなんですよね。ラブ★コンは優しさに満ちあふれた、温かい恋愛ものだったんです。それこそ、二人の「成長」を、温かく見守れる物語なんですよね。

高校入学から始まって、卒業式を終えたところで二人の物語はハッピーエンドを迎えるんですがね。ホント、これを読み終えた瞬間に胸がじんと熱くなったんです。ええ、年甲斐もなくね。
漫画の世界だから良いじゃないか、悪い奴が一人もいなくてもさ。大谷×小泉
いやいや、それだけじゃないんですね。と、寛紀君。
大谷と小泉。二人が主人公を囲む皆も、しっかりと活きている。横の繋がりがあって、皆一人一人が大谷と小泉の個々の支えとして二人の後押しをしっかりとしているんだ。と力説しましたね。
確かに、鈍感なだけの大谷、不器用でちょっと涙もろい小泉だけじゃあ、こんなにラブラブにはならなかったですよ。心温まる恋愛成就の裏には、彼らを見守る仲間達のしっかりとした繋がりがあったからなんですね。そこが、ラブ★コンの醍醐味なんですわ。

大谷君は絵に描いたようなイイ奴。さり気ない優しさがどれほど心を動かすのか。余計な言葉や、当てつけがましい行動はいらない。好きな子の想いにひととき 向き合ってあげるだけなのだ。人は簡単なようでなかなか大谷君のようにはなれない。小泉の心の涙を、彼はいつでも感じることが出来るんです。だから、漫才 も出来るのかも知れませんな。

蚤の夫婦は円満夫婦。偕老同穴・比翼連理。幾十年後には背も縮み、小泉のコンプレックスも解消されてゆくのかな? と思いつつ、ラストシーンの読者にさよならと手を振る彼らの姿は、いつまでも不滅であり、またその優しさも続いてゆくのでしょうね。
そんなこんなで少女漫画のヒーロー達の優しさのひとかけらも欲しいと願いながら次回のお話もかくありたいと思うのこころだー!