有力な選択肢も、焦燥と不安から自滅へと転落す
石の上にも三年、内海聖志回帰へ拍車
~雨宮透流、自ら雪の選択肢を遠ざける

▼雪の失踪に焦躁る聖志。その要因に雨宮透流の存在を察知した聖志は、妹の莉子に協力を頼む。兄のためと思ったと自責する莉子を宥めて友人達とともに雪と透流がいると確信した長野に向かう。

自ら雪を棄てた雨宮透流の焦燥と執念

雨宮透流は自らの手で雪から自分に対する選択肢を奪う行動を取っている。
鷹岑は指摘してきたが、黙って動かずにいれば、透流は雪にとって相当有力な選択肢になり得た訳である。
それを透流は自ら遺棄し、雪の想いを聖志の方に向ける手助けをしているというのだから、彼にとって悪循環この上ない。
その手を伸ばして彼 の妹、莉子は透流のためを思って雪の存在を知らしめたというのだが、実はこれは全く間違っていないと言うことは過去の考察でも述べている。むしろ、事の本 質は莉子の立場が云々ではなく、雪と透流の間の因果をどうするかと言うことにあるわけで、そういう意味からすれば、莉子は渡りに船のような立場であったと 言って過言ではあるまい。

言葉は悪いが、透流の焦燥と執念による暴走は聖志にとってはまさに棚牡丹な話であって、彼自身が何もしなくても雪との距離が狭まって行くのは得てして不努力ゆえの批判を被覆する格好の事態であると言えるのである。

同じ想いの人間として‥‥~聖志、雪の答えと共鳴できるか

聖志は雪の元に向かう際に氷室結仁に釈明の機会をくれるように要請したが、ここに来て彼自身の玉砕の覚悟が秘められていると言える。
氷室結仁への釈明氷室結仁は聖志に敵愾心を懐くほどに雪を慕っているという風には思えなかったので、この場面は意外であったが、結仁としては自分が如何に本気の様相で雪に対しても、彼女の心が(聖志と透流との岐路に)苦悩しているように見えるところまでであったとは少し疑問がある。

それでも、聖志がどう言う意味で「同じ想いの人間」と表現したのかはまた様々な憶測があるのだが、彼が優遊敦厚の域を脱却して雪を想い、結仁に対しても対等な立位置に置いて見るという姿勢は、率直に評価が出来るのである。

いずれにしろ、雨宮透流は、聖志に対して終始優位を保っていた地位を自ら壊そうとしている。
ストーカーというくくり方は戯論であり、もっと深い意味で繋がっていたと思われていた分、鷹岑として非常に残念である。