憎めなきDX団、非・非リア充の主人公、疾駆す
我妻さんは俺のヨメ・第4集我 妻さんは俺のヨメ・第4集
評価★★★★★

週刊誌昇格での本格的連載開始後、事実上初の単行本として、第6話~第14話を収録。
メインヒロイン・我妻亜衣の水泳新人戦編と、週刊誌初登場のヒロイン格・下妻シルヴィア編が主体。

主人公・青島等、友人伊東志郎・小松正男らが中心として結成されたDX団の活躍と共に、水泳新人戦で挫折を味わう我妻亜衣の未来を変えようと、必死に努力 する主人公の心優しさと至誠が展開されてゆく。
単純にギャグパートと、ラブコメパートとしての棲み分けが出来ていて、どちらの視点から読み進めてみても楽しむことが出来よう。
ただ、政治情勢も含めて、風俗や芸能界などトレンドな話題もネタとして多用されているので、後年この作品を回顧した際、当時の世情を知るべき簡単な資料と しての付加価値もあると思われるが、同時に古臭いと思われる可能性もある。

とかくメインヒロイン・我妻亜衣は前向きで明るく、非常に好感が持てる王道ヒロイン。
一方で下妻シルヴィアは、マガジンSPECIAL時代を含めて順調に準ヒロインとして青島との関わりを強めキャラクタとしても完成してゆく過程を見られ る。
週刊誌というサイクルの短い中にあって、ギャグ・ラブコメという絶妙なバランスの維持が、当面の当作の課題である事は間違いが無い。
マガスペ連載時から維持し続けてきたクオリティの維持が課題

我妻さんは俺のヨメは面白い。ギャグ漫画であり、ラブコメの要素も含めている。将来妻となるメインヒロイン・我妻亜衣に対する主人公青島等の弛まなき努力は、読み手としても好感が持ててユーモアながらも気持ちがよい。
ギャグパートかと思えば、水泳新人戦編のように極めてシリアスであったり、DX団の本領発揮といった非リア充視点の縦横無尽な活躍も見えるなど、この作品のコンセプトに準拠した面白さというのは非常に目を瞠るものがある。

しかし、以前の私見でも述べたように、ラブコメディの主人公に、「異性にはモテない」という設定は有りえず、そう言った意味で、青島等が非リア充というのは筋が通らない。
ギャグパートとして捉えた場合は、青島等よりも、友人の伊東志郎・小松正男の視点で捉えた方がよく、ラブコメパートとした場合は青島等なり、我妻亜衣なりの視点で捉えた方がすんなりと受け容れられると考えられる。
青島目線を続ければ、「主人公のどこが非リア充なんだ」という疑問を、必ず感じることになる。目線の切り替えも、この作品の醍醐味であると考えている。

主人公を支えるDX団は、週刊誌昇格に伴ってこの漫画の基本原則の一端に位置づけられ、更なる活躍が見込まれることになるわけだが、掲載サイクルが月刊と 較べて格段に短くなっているので、マガスペ時代から週刊誌連載当初の頃に描けてのクオリティの維持が最大の課題である事を作者側は肝に銘じていて欲しいと ころである。
無駄にキャラクタを増やしての自転車操業はクオリティを高めるどころか貶める一方である。決められた、或いは限られたキャラクタをうまく活かせばこそ、展開されるギャグも映えてクオリティも保たれるというものである。
まあ、美少女キャラの筆致は言う迄も無いので、そこを注目するとするならば、キャラクタの変化も楽しみな作品ではある。