相変わらず、他キャラクタでも通用する快走自転車操業
瀬尾氏、開き直りの全キャラ“好意”路線
~キャラクターロンダリング、輪番・夏越編

▼サークルの飲み会で相変わらずモテまくりの青大が気になる夏越美奈。トイレでケツ見られました。何だかんだとキャンプサークル(?)の次期部長が青大に決まりました。副部長が夏越に決まりました。これからよろしく頑張ります。以上です。

輪番・夏越美奈、代役でも務まる舞台に出演

関係ない話ですが、今回のグラビア登場のGorkyさん、一部ネットの話題が加味して、姿を見ただけで笑ってしまうのは大変失礼な話かも知れません。
閑話休題。
さて、恒例鷹岑流考察「君のいる町」。今回も相変わらず、このキャラクタでなければならない。という感じのオムニバスではなくて、自転車操業絶好調という感じです。

この漫画を考察し続けるのは正直苦痛以外の何物でもないのですが、瀬尾のためと言うよりも、最後まで自分自身に対してケジメを付けるためにも、何とかやっていきたいと思います。

内容の骨格は夏越美奈でなければならない理由はない

夏越美奈個別のネームを繙く前に、今回の話そのものの骨格を見よう。
舞台が「旅行サークルの納会」である必要性があるのか、という事と青大と夏越美奈との絡みのこと。
君のいる町全般をラブコメとした場合、この飲み会と夏越の存在が必要かつ重要な意味を持つものなのかどうか。

縦しんば飲み会という舞台設定があったとしても、相手が夏越美奈である必要性は無い。他所の大学サークルで、枝葉懍などの部外者が平然と専横な振る舞いが 出来る環境が特徴の瀬尾世界にあって、この相手が例えば保科美友でも、ミートソース事案を経て水本部長の知己となった天城紫歩でも、誰でも構わないのであ る。
また、夏越との掛け合いについても、相手が夏越でなければならないという理由はない。

「青大を睨み付ける、トイレを覗かれる、やっぱり青大が好きである」

骨格を要約すればこのことであり、“青大を睨み付ける事”の理由付けは、全女性キャラクタに宛がうことは至難なことではない。理由は夏越に限らず、青大に向ける好意の均一さである。
つまり、青大に対する内面描写が欠乏し、その上当考察でも指摘しているように青大を廻る感情に殆ど差異が見られないので、夏越でなくても同様な場面は描くことが出来る。
仮に、夏越の立位置を浅倉清美や、先述の天城紫歩らに置き換えてみてくれれば良い。個々のセリフや表情、キャラクタの性格は違うものだとしても、心情変化はほぼ一緒である事が解るだろう。

マガジン“ラブコメ”の御里が知れる、瀬尾氏流

大出版社の権威が物を言う週刊少年マガジンでの連載。君のいる町がもしも中小出版社の連載ものであったとするならば、果たして今日の様な展開を維持できているかどうかは未知数であると思うのだが、いかがなものであろうか。

扉横枠において、君のいる町と、広島県庄原市とのコラボレート・イベントの告知があるようだが、鷹岑としては、折角広島庄原の観光振興として位置付けてい るはずの本作が、いつの間にか中途半端なお色気ケツ出し湯煙下着裸漫画に成り下がったことに、庄原市観光担当者の心中察するに余り有る。トイレを覗かれ
以前にも言ったことがあるが、少なくても、我が岩手県を舞台にしたアンソロジー等ではさいとう・たかを氏を始め、麻宮騎亜氏・吉田戦車氏らや、飛鳥あると 氏・地下沢中也氏ら中堅若手に至るまで、観光振興を銘打っている以上、寸分もお色気先行の作品を提供してはいない。瀬尾氏の独善的手法で、瀬尾氏の目指す 「瀬尾流ラブコメディー」を追求してゆくのは大いに結構なことだが、出身地の地方自治体を巻き込んで、その土地の品位に疑問を懐かせるようなやり方は、果 たして良いのか悪いのか、疑義を生じることになるのではあるまいか。

広島庄原市が瀬尾氏の「ラブコメディー」と称する中途半端なエロ漫画と一蓮托生するのは別に構わないのだが(庄原市にとっては余計なお世話かも知れないし ね)、それ以上にこの作品の継続が、週刊少年マガジンそのものの、ラブコメ枠の土台を貶めかねないという懸念が強く残る。

流石氏のGEも終了し、紛いなりにも「君のいる町」がラブコメ枠として居座り続けている以上怖れるのは、ラブコメというのはこの程度の作品であるのかという定着概念なのだ。
少なくても、蔵石・西木田両氏の「我妻さんは俺のヨメ」やヒロユキ氏の「アホガール」が底支えをしている感があるが、GEなき後のラブコメ代表の凋落ぶりは、漫画界における「ラブコメ分野」そのものに対して一石を投じる事になるだろう。

私はやっぱり桐島くんが好きなんだ~結局はいつものオチ

青大×美奈鷹 岑が誹謗中傷されながらも、御島明日香編以上の波乱は不可能だと断言してから大分経つが、瀬尾氏自身もそれを起こす気がないのか、起こせないのか。鷹岑は 後者であると思っているわけで、青大と柚希の関係が、明日香ですら壊せなかったのに、誰が壊すのか。という事を提起し続けている。

登場人物、特に女性キャラが全て青大に対して好意を寄せている。という、極めて異例の人物相関が今日の浅薄かつ惰性感の強い中身となっているのだが、瀬尾 氏も半ば開き直り気味で、そういった声を排除しながら、敢えて水戸黄門を10分見ればオチが解るかのように、今回もまた1ページ目を見て全てオチが解る、 と言った展開を続けているのかも知れない。

それはそれで良いのである。ただそれは最早ラブコメではない。水戸黄門や大河ドラマ「江」が、時代劇型のホームドラマであったように、君町も変質し、ラブコメに似せた単純ハートフルエロコメディなのである。
ストーリー性は後退(終了)し、君町全体を震撼させた明日香や清美まで青大に帰服した今となっては、ラブコメとしては完全に死したのである。
波乱が波乱とならず、今回のようにとどのつまりは「私は青大が好き」では、食傷感を通り越して、この作品の存続の意義が問われることになるのである。