ラブコメディとしての流れよりも単なるアドヴァタイズメント
思いつきのまま描かれる瀬尾流、矛盾も齟齬も掻っ散らかし
~御島明日香・風間恭輔の話題を出す度にあぶり出される矛盾と筋無き構成

▼キャラクタロンダリング・御島明日香編です。明日香も懲りずに青大を飲みに誘って柚希に申し訳ないも何も無い。風間恭輔を話題に挙げるも、なぜここで風 間を話題に挙げる必要性も意味もよく分からないが、ようするに「私も頑張る!」と青大に宣言したかったらしい。ただそれだけ。前後の脈絡、キャラクタの重 要性の微塵もない、無駄矢な話。

アニメ放送直前だから明日香と風間を出した。そ れだけが目的

キャラクター自転車操業は今回、御島明日香の手番ですが、本編は二、三度読み直しても、一体何のために明日香を出し、また取って付けたように風間恭輔の話 題を割り込ませたのか、全く以て意味不明。ラブコメディとして見た場合、前後の脈絡も、それぞれのキャラクタをここで出す意味も殆ど無いという、無駄話の 最たるものであることは言うまでもありません。
何故、今回必要も無い明日香や恭輔の話題を出したか。鷹岑がここで言うまででもありません。「君のいる町」を冷静に読み進めている諸卿ならば分かると思い ます。アニメ放送を土曜日に控え、アニメ版の主要キャストである明日香と恭輔を本編に出してみた。ただそれだけの話であって、何の戦略も展望も、意味も辻 褄もありません。瀬尾氏が「何も考えないで、その場その場の思いつきでやっている」と、鷹岑が以前から指摘していることを彼は奇しくもツイッターで発信し たらしいのですが、まさにそれの最たるものでありますね。当然、何も考えず、ただの思いつきやアドヴァタイズメントでやって心理描写不要のラブコメディを 高言するのは、まさに恥を知れと言いたくなるのですが、恥を知らぬ人にそれを言うのも、蛙の面に何とやらで、詮無きことではありますね。

平気の屁の座、懲りてない御島明日香

明日香が再登場するのは別に良いのだが、さて、一連の流れで彼女が登場する意味があったのか。何も考えていない瀬尾氏のことですから、いつものように、強 いて疑問を投げてみましょう。
懲りずに飲み会冒頭、物憂いなる様相の御島明日香だが、それに絡む桐島青大が苦悩した様子も見せず、他人事のように「悩みは就活 か?」などと半ば微笑みながら問いかける。さすがは万能弥勒仏たる桐島青大。己が就活は完全無比なので、便宜的に「迷うよなー」などと言える余裕。イン ターンシップ応募10件全落ちもご愛敬、何だかんだと自らの夢を順風満帆に叶えることが出来る世界なのであります。
そして明日香はというと、酩酊の青大を自室に引き入れて胸を揉まれ、ベッドで抱き寄せられるニアミスに慚愧の思い甚だ以て柚希に弁明したのにも拘わらず、 またも懲りずに青大を飲みに誘うという繰り返し。
正直、常識的に考えて明日香のそうした行動自体も理解に難く、これからテレビアニメで始まるとされる東京・高校編は一体何だったのか。と言うことを改めて 考えされられる言動行動であると言うことを、一応認識しておこう。
思いつきや無思考でキャラクタを出して動かすのは良いが、それが総じて全体の話や相関図とリンクしていて影響があると言うことを、少しは考えたらどうであ ろうかとは思う。紛いなりにも、御島明日香や風間恭輔は、「ラブコメ」としての立ち位置が重要であり、物語本編で非常に枢要な位置にあったのだから、そう した根幹の意味合いを台無しにするような登場のさせ方や意味のない引き合いは厳に慎むべきであると、鷹岑自身は思うのである。

今回の話の明日香を論じれば、青柚から受けた精神的惨殺劇は無かったことであり、ここで風間恭輔を引き合いに出しての思い出話など徒花にも満たない。
言葉を良くすれば、青柚の仕打ちなど平気の屁の座、今猶捲土重来を期して虎視眈々と青大を狙う鷹の目たり得る不屈の精神を持つ女性であるとも言えよう。
あくまでも鷹岑の感覚ではあるが、あれほどの仕打ちを受けて時もそれほど過ぎず、遙か前世の過去か、まるで事なき仕儀よろしく「元カレ」を誘って悩み相談 なんぞ、迚もじゃないが考えられないし、鷹岑が青大の立場だったら、明日香の前に、二度と顔を見せるなんて事は出来ないだろう。

平然たる二人残され た可能性を活かす気が無い瀬尾流

「何も考えず、その場の思いつきで描いている」としている瀬尾氏が「まだまだ引き延ばしますよ」ともはや狂気の沙汰として、鷹岑が真剣に考察してきた第 120回からの推量を悉く灰燼に帰してきている中にあって、それでもまだ、一縷の残照が御島明日香にはある。
何だかんだ言っても、やはり明日香は東京編において一時なりとも青大の伴侶として、柚希に勝るとも劣らない存在感を発揮してきただけあって、ここ一連の駄 話の連続にあって、彼女が登場するとやはり映えることは否定できない。

青柚からあれほどの仕打ちを受けてなお、青大に想いを見せ、柚希を赦す姿勢は常軌を逸しているとは言うものの、逆の見方をすれば青大をそれほどまでに真剣 に愛していた、という形の裏打ちでもある。
どう言う事かというと、かいつまんで言えば一縷の残照とは、まさに焼け木杭に燻る微かな残り火なのだ。だが、惜しむらくは残念甚だしいことに、瀬尾氏はそ れを活かす気概も、また技量もない。何のために出したのか分からない保科美友よろしく、改易英国に追放、明日香もとっとと福島に帰して無理矢理な終熄をさ せ、御島明日香というキャラクタが秘めていた限りなき可能性を終に花開かせないまま終わらせるだろう。
瀬尾氏というのは、自らが生み出したキャラクタなのに、そのキャラクタを活かすことが出来ないという、実に稀有な作家ではないだろうか。
青大に言う資格が…◀お前が言うな

たまには鷹岑にも俗っぽい感想言わせてくれ(笑)
「おいクズ青大!オメーよ、何のツラ下げてまた明日香泣かして んの?一体何なのオイ貴様。偉そうなこと言ってっけどな、そもそもオメーが黙って明日香と一緒におればな、味噌汁冷めない程度の幸せを得られたんだぞ。わ かってんのか? 何を分かった風に福島帰れだのソフトなんか趣味でやれだこの!オメーの趣味はなんだ?明日香にしろ懍にしろオメーに思いを寄せる女を冷た くあしらって説教することか?最悪だな」
抑えられた明日香サービスカット

明日香パンチラ今回は珍しく露出を抑えた演出となっているのだが、相変わらずの無為なサービスシーンである事は間違いがない。
これまでの瀬尾流の本領ならば、酔った勢いでそれこそラブホテルにて、単行本第12集・第117話の本懐を遂げる勢いの場面をも想定できたはずだが、それに似た場面を描くことも出来ず、単なる「いい話」に収斂させようとする中途半端な流れに終始した。

まあ、明日香にもっと脱げという訳ではないのだが、ラブコメとしての話を追うのならば「酔余の過ち」の好機を逸したわけであり、そういう流れの中で思い出 したかのように風間恭輔の話や、明日香の特技をひけらかしたところは、唐突感が否めず、また展開そのものに影響するものではなく、抑制されたサービスカッ トの穴埋め的なものとして掘り起こされたネタに過ぎないと見ている。
風間恭輔また、都合良く引き合いに出された風間恭輔だが、彼が存命の設定ならば少なくても今の現状を拍手喝采していただろうかと思うとやるせない。
「風間の死亡退場がなければ…」という話はまたややこしくなるからここでは言わないが、ひとつ言えることは、彼は死亡退場後の回想シーンでは、登場人物達の都合の良い解釈として「完全善人」として位置している。
明日香や浅倉清美との完全和解によって、それまで隠然たる影響力を誇っていた風間恭輔の存在価値は喪失したが、今日の青大を廻る相関関係や、惰性で続く終りの見えない五里霧中の物語は、草葉の陰で「死ぬんじゃなかった」と忸怩たる思いに駆られていること必定であろう。

「アイツの住む、この町で…」 君のいる町・最終回……え?違うの?

「あいつの住む、この町で…」この街で君と暮らしたいFIELD OF VIEWの名曲「この街で君と暮らしたい」のテンポよろしく、見開きで青大が見上げていった決意「オレもこの町で頑張ろう‥‥あいつの住む、この町で」
いやはや良い最終回だった。……と思ったら、次ページ「つづく」の文字が(笑)

君のいる町がエンドポイントを佚したのは果たしてこれで何度目だろうか。せっかく心に残る台詞を残したとしても、これで終わらなければ一体何なのか。いつまで続けるつもりなのか。
翌週にはギャグパートかお色気パートか、前回の名台詞を一息に台無しにする駄々話、思いつき無思考ありありのはちゃめちゃだけの詮無きストーリーもどきが延々と続く。
青大と柚希を基軸としたラブコメディな筈なのに、終わった先が見えず、周囲の環境も「つき合った~エッチした~妊娠した~」か「夢が~希望が~」という全く関係のない話に。

久し振りに御島明日香が登場したので、今回は前回よりもちょっと熱を帯びた本文になったが、いい加減書くこともなくなったので、今日はこの辺で。

今週からテレビアニメ「君のいる町」が放送開始のようですが、吉田玲子さんのオリジナル脚本に期待をして、原作の跡形全くなき「化け」に想いを馳せてゆきましょう。