true tearsを想起する効果
ラブコメ時代の興隆、広島編前半のダイジェスト
~桐島青大、枝葉柚希運命の邂逅

枝葉 懍(改訂版)恋人がいるのに何故追ってきた、ストーカーのような真似をするなんて。と、瀬越しをかける枝葉懍(藤田咲)の言葉 に、桐島青大(細谷佳正)は枝葉柚希(中島愛)との馴初め、運命的な邂逅の場面を想起する。

「雷轟丸と地べたの物語」、二世仲上真一郎を襲名せし青大が描 く水彩画の場面

TVA第2話は物語の始まり、青柚の運命的な出逢いの場面を想起した。
枝葉柚希(天の磐戸)特徴的なのは、水彩画調のカットが随所に盛り込まれて回想シーンとして青大が印象深い場面を強調しているところであ る。
一目で見て、珠玉の名作「true tears」を思い出した視聴者も多いことだろう。
一世仲上真一郎(石井真)が、石動乃絵(高垣彩陽)に向けて描いていた自身を抽象した絵本「雷轟丸と地べたの物語」。その印象的な場面を水彩画調にカット する技法、君のいる町にも用いられたようである。

「True Tears」と重なる世界観というのは鷹岑家文書の考察記事でも随所に挙げてきたが、そうしたカットが用いられたことで鷹岑の考察が一定程度中っていたの ではないかと自己分析しているのだが、果たして湯浅比呂美(名塚佳織)の立ち位置に枝葉柚希、石動乃絵の立場に御島明日香(佐倉綾音)となるかどうかは吉 田玲子氏の技量ひとつに懸かっている。
水彩画調・枝葉柚希◀水彩画調のカット

二世仲上真一郎(桐島青大)が描く「雷轟丸と地べたの物語」のアナザーストーリー。TVA君のいる町の第2話に随所に織り込まれた水彩画調のカットは、彼 が描く「絵本」の一部なのであろうか。珠玉の名作であり、今も尚そのストーリー性の高さが廃れないTTは、奇しくも君のいる町が標榜した、御当地振興アニ メの中興の祖とも言えるものであった。
由良尊・加賀月の回想

本編では後半、大変な扱いを受けることになる加賀月だが、この当時は青大を廻るヒロイン格の一角を担うべき力を持った魅力的な美少女として存在していたこ とは間違いがない。
TVA第2話においての回想場面ではほぼ原作に沿った加賀月像をもって再現されている。
加賀月(TVA)加賀月(テレビアニメ版)▶

立ち位置としては涼風における羽柴美紀。キャラクタそのものとしては単行本第6集巻末に収録されている蚤の夫婦を扱った読切「七夕」のヒロイン・櫻木七夕 に擬した、ラブコメ時代の君のいる町を初期から支えてきた古参の美少女である。メインヒロイン枝葉柚希、神咲七海に次ぐ枢要な立ち位置にあった。東京編が なければ、確実に青大を廻って本格的なラブコメの世界を享受できた存在である。
明朗快闊な月を演じるのは、舞台俳優でもある高野菜々君。OAD版に続き担当するが、低音ハスキーなところは、それこそ櫻木七夕役にもピッタリであろう。
神咲七海、東京編移行によって霞んだ、無冠のヒ ロイン

原作では不遇を託った神咲七海だが、TVA版でも基本的に報われるという立場では無さそうである。
神咲七海(TVA)◀神咲七海(テレビアニメ版)

OAD 版では人気声優である早見沙織君が演じ、TVA版では新人デビュー作となったタカオユキ君が担当するという。原作の関連からかあまり印象の深い場面は多く は無さそうに思えるが、新人アイドル声優のデビューの契機となり、その栄枯盛衰が際立つ作品が乱立する中で、君のいる町のヒロインの一角を占めてきた重要 キャラ・神咲七海をどう演じることが出来るのかが問われる。青大のことを二世仲上真一郎の立場として見た場合は、安藤愛子(井口裕香)の位置であるヒロイ ンである。
今回のサービスシーンは柚希が七海を誘って行く町場の温泉施設。アニメ放送開始第2回にして早くも七海の裸がお目見えした事になるが、やはり印象としては大人しめだ。

メインとなる東京組の登場は今回はなかったので、ほぼ原作前半のダイジェストとして紹介されたようである。鷹岑としても、あまり突っ込むような場面はない。ラブコメ時代の君のいる町は、やはり面白かったんだなと言う端的な感想である。