第200話に拘泥する悲哀なる販促活動、良識ある一般層を乖離す
由良夫妻、嫡子に恋愛弥勒の偏 諱を賜う
~公式同人・妄想200話になぜ拘るのか、最近のラブコメはとかく理解しにくい世界

▼巻頭カラー冒頭は、テレビアニメ君のいる町のBD・DVD販促。「妄想200話」がヒロインを別にして各巻に附帯するから皆さん買って下さいとのことら しいです。
本編は由良尊・清美に第一子が誕生したというおめでたい話で、俺らも欲しい気もするが今はいいや、と青大が呟き、柚希が満更でもないと言った感じみたいで すね。
今回は御祝儀相場で評価は「5」ですが、全体的には件の通り評価に値できません。
妄想200話販促◀BD各初回版・妄想200話収録販促

懍 のこの台詞に糸杉柾宏氏がアップを始めました。矢吹健太朗氏が鼻で笑っています。・・・まあ、改正児ポ法について現場では丁々発止の議論が交錯し、推進派 と反対派が鎬を削っている状況で、天下の大雑誌・週刊少年マガジンが軒端から際どすぎなほどエロい話が読めるからブルーレイ買ってくれ。とは、なんともは や緊張感が無いというか、空気が読めていないというか。
時に、妄想200話というのは公式同人誌である「公式ガイドブック」には収録されていないのかね。鷹岑は買っていない(というかそういう際物は端から買うつもりは無い)ので、よく分かりません。確か、GBに収録されるとか何とか言ってましたよねえ。
まあ、コミケ等で君のいる町の同人誌があったのかどうかは知りませんが、公式サイドが同人誌の真似事をするという時点で、よほど危機感があるのかなと言う感じがします。
由良尊、報われぬ数奇の片想い遍歴を経て君町第一号の人生帰結

由良(浅倉)清美夫婦別姓制度が現実となった場合は、確実に尊と清美夫妻は別姓を選択していただろうことは想像に易い。
由良尊と最終的に収斂した浅倉清美は、初登場時からの刺々しさはすっかりと消えて、尊に対してはつれない態度を愛の裏返しとばかりに夫婦鴛鴦の様相を見せてやまない。
清美が桐島青大・枝葉柚希の二人とも全面和解したことによって、君のいる町唯一の取り柄とも言えた人間関係は非常に薄っぺらいものになってしまったが、それでも個別のキャラクタとして捉えた場合は、普通に尊と夫婦円満を描かれていたとして悪い気はしない。

ラブコメディとしてはその機能はもう終えた君町だが、日常ドラマとしてそれぞれの生き方を見た場合は、由良尊が当該一番乗りで人生のイニシエーションを踏まえたことはある意味予測はついていたことである。
過去の鷹岑家文書の考察においては、君のいる町の登場人物の中で、現実社会に尤も近いキャラは、男は由良尊、女は夏越美奈であると指摘してきたが、その由良尊が最終的な人生収斂一番乗りを挙げたことは、そうした鷹岑の指摘がある程度当たっていたのかなと言う感じはする。
由良尊
どういうところが君町キャラの中で尤も現実に近いのか。簡潔に言えば神懸かり的な主人公やヒロイン達の「波乱」というものが無く、また加賀月のように、金 髪ハーフで巨乳の幼馴染みなのに、青大は意識せず、ずっと青大が好きだった。などという小説のような設定でも無い、純粋な青大との同性の幼馴染み。ここま で厚い友情関係はともかくとして、その一挙手一投足が、比較的現実に近いものがあったと言える。
毒にも薬にもならないと言えば聞こえは悪いような気もするが、彼は変に瀬尾氏によってキャラクタ設定を弄られることが無かった「男性キャラ」であることが幸いした。
加賀月のように、序盤であれほど好きだったとされる神咲成海との結婚を前夜に控えて、青大と一夜の関係を求めるなどと言った暴挙磔刑に等しい扱いを受ける ことも無く、風間恭輔の退場によって収斂に困った浅倉清美を引き受ける立場を受けただけの存在価値が、物語序盤から君町の脇を固めてきた重要キャラの中で 唯一とも言って過言ではない、三流(現実では普通)の扱いを貫徹し、結果として君町終焉に向けたイニシエーションの先駆けという重要な役割を演じたと言え るのである。

由良尊、嫡子に桐島青大の偏諱を乞う

清和源氏義國流新田姓横瀬(由良)氏の傍流の末裔である由良尊は、遠祖が新田義貞の三子義宗に発祥し、室町幕府後期に横瀬成繁の一族が安芸に流浪・土着 し、帰農した流れを汲む。由良氏はそうした血脈を、数奇なる片想いの女性遍歴を経て浅倉清美と結婚し、嫡男「青河」を授かった。由良氏次々期当主である。
由良尊が、恋い焦がれて永遠の伴侶とした清美との愛の結晶である嫡男に恋愛弥勒・桐島青大の偏諱を乞うたことは意味がある。
へん‐き【偏諱】
(「諱」は名の意)貴人などの2字以上の名の中の1字。将軍あるいは大名などが、家臣の功ある者、または元服の際などに名の1字を与えた。これを「偏諱を賜う」といい、その時に与えられる文書を名字みょうじ状という。(広辞苑より)
以上のように偏諱とは文字通り、青大からその名前の一字を頂くという事である。由良 青河
愛する我が子に名前をつける。今のご時世キラキラネームやらDQNネームなどと言った読めない当て字などがあるようだが(鷹岑が知る例として「妃」と書い て、アリスと読むのだそうだ)、至誠忠義の万能無比な親友から、その一時を賜うという名誉は、由良尊の人としての優しさ、お人好しぶりを窺うことが出来よ う。
また、一時は顔も見たくない、誰からも祝福されない、二度と顔も見たくない。とこれ以上に無いほど非難囂々だった清美も、かけがえのない我が息子に、そん な彼の一字をつけることに賛成したというのだから、清美の青柚に向ける感情の程が雲ひとつ無く澄み渡ったものであると言うことが良く分かるだろう。

清美の出産に立ち会えなかった由良家側もさぞや初孫の誕生を心待ちにしていた。駆けつけた浅倉家側もしかりであろう。お披露目や七五三の儀式の場におい て、また青河から名前の由来を聞いた際に、尊は「これは俺の大親友から貰った名前じゃ」と、控えめに言うのだろう。非常に御利益のある偏諱である事は間違 いが無い。
桐島青大から更に偏気を賜いそうなキャラとしては、神咲成海・月夫妻か。嫡男生誕の際には、「青海」、女児生誕の際には「青月(はづき?)」とかなんとか命名しそうである(笑)
ちなみに、桐島青大は実はその名前を歴史の彼方において転生し、有名な歴史上の人物にその名前を与えていたことが明らかになっている。足利義青、南部青政、伊達青宗、長尾青景、尼子青久、細川青元などがそうである。
これほどキラキラネームが蔓延し、救急救命士からやめて欲しいという切実な願いが話題になっている最中にあって、弥勒から偏気を賜い、さらに「せいが」という読める名前をつけた由良尊は、まさに一石二鳥、時代のニーズに合った子供の命名を達成したと言えるのである。
子作り山田君?
さて桐島青大も一代の英傑として、柚希と血脈を伝えなければならない。名こそ彼に感化された君町登場人物達の収斂先に影響を及ぼすこと必定だが、余裕綽々 たる就職活動に(彼にとってはたとえ就職浪人になっても決して苦にはならない。だって柚希がいるんだもん)、悲観しない柚希。
瀬尾氏が越えなければならない山があると公式同人誌で語ったとされるが、その山は大阪市天保山よりも低いことは言うまでもないことで、目的は柚希以外の女性キャラと描きたかったセックスシーンというのだからまさに青息吐息。
手段が目的化しているというのは正にこのことを言うのだろうと思うと、本当、静まり返った住宅地の一角で、異様に盛り上がっているパーティ現場のような、君のいる町である。
改めて思うのだが、いい加減に鷹岑も君町考察の苦痛から解放されたいものである。