風間恭輔、東京編中後期に亘る存在感を発揮しつつフェイドアウト
枝葉柚希 を衷心より愛していた男の潔き退場

風間恭輔、至誠の忠義に一矢報いる自決の賭け

TVA第7話は風間恭輔(CV:小野大輔)が華々しく退場する君のいる町最大の見せ場と言える場面である。
恭輔の傍にいながらも、心は桐島青大の元にある枝葉柚希。柚希を追って上京したと告げられた恭輔は、青大の言葉と柚希の様子の辻褄が合うことを知り、青大 に対して一矢を報いる行動に出る。
成功率が低いとされる、難病の手術を受けるのだという。浅倉清美(CV:遠藤綾)の必死の諫止と柚希への罵倒、青大とのフィーリング。
「生きて柚希を此の手に帰し、死してなお桐島青大を奔らす」
そう思っていたのかは知らないが、少ない余命を青大と柚希のために賭した恭輔は、見事に散った。

浅倉清美浅 倉清美‥‥恭輔を慕う精悍の美少女、その死を経て達観の道程を得る
遠藤綾君が演じる浅倉清美の初登場の回だが、例によって新キャラが出たよ、という感じの紹介的意味合いだったので、際立った活躍を要しなかった。枝葉柚希 を平手打ちし、初見の桐島青大とは旧友のような交わり。原作で懐いた疑問を、アニメ版で補完するという期待は残念ながら外されたという感じである。
まあ、でも浅倉清美(葬儀後)颯然と登場した彼女の活躍であった柚希打擲や風間恭輔への思慕の強さなど、そのキャラクタの要点はきちんと押さえ ていた感じがしたので、あまり違和感などはなく見ることが出来た感じがします。
まあ、また手前味噌ですが今話は、我が拙作SS・清美編への分岐となる葬儀後の青大と清美の会話と間合いがあったので、妄想を膨らませてみる機会ではあっ たかと思います(笑)
我がSSでは、今話の中で葬儀後に清美が去り、明日香が出てくる寸前で青大が声を掛けて、清美ルートになるという妄想を想定しているので(^_^;

原作連載では多くのキャストを抜き去って、いの一番にイニシエーションを経て人生の終決点を見つけた浅倉清美ですが、風間恭輔への想いの強さを考えれば、 帰結一番乗りはある意味、至極真っ当なことであったような感じはしますね。
由良尊との出逢いと帰結はまた別の話になるのですが、清美の幸福を良く願っていた恭輔としては、以て瞑すべしと言った感じであったと思います。
青大と清美◀青大と清美

青大を廻る恋愛相関を想像した場合、いわゆるフラグが立つという場面に事欠かない作品だが、浅倉清美は恋愛的な意味においては最もフラグが立ちやすい立場ながら、最も可能性が低かった例であったとも言える。
原作ではあった、恭輔が青大に対して「私に万が一のことがあったら清美を托したい」という言葉がアニメ版では壮行会を含めてカットされた。浅倉清美がTVAを含めて完全に青大争奪恋愛レースからの脱落を裏付けられたことである。
鷹岑はそのフラグの一つを拾って、一応SSを展開てみたが、評価は読んだ人の通りである。
死せる恭輔、生ける青大を奔らす

明日香「一死を以て一矢を報いる」と言うのは決してダジャレでも無い。柚希の心を手にすることが出来なかった風間恭輔が青大に対して対抗できた手段が、命を賭けた難病手術。
果たして、風間恭輔は柚希をどう思っていたのか。また、柚希は恭輔をどう思っていたのか。
当の風間恭輔は永遠に退場、思うところは瀬尾氏の胸中深く、と言った感じなのであろうが、仮に東京に青大が現れなかったらどうだったか、そのまま風間と柚希は交際を続けていたのか。恭輔の手術が成功していたら・・・。と言った「もしも」が尽きない。
それが、風間が放った一死を以て主人公や多くの読者の憶測を尽きさせない。まさに死せる孔明生ける仲達を走らすを彷彿とする。「お前は柚希とそう言う関係だったのか?」 恭輔の静かな表情が、まさに生きしものを大いに翻弄させることになった。

風間を中心とする東京編を改めてこうしてみると、まさにメモリーズオフの世界である。