もう明日香で良いだろうという声に対して理解出来るストーリー
明日香 漠 然たる不安を胸底に帰郷し、青大 郷里に思いを馳せる
~吉田氏、原作を大きく差し替え柚希帰結への大義を模索する

御島明日香が肉親の看病と家事手伝いを兼ねて里帰りをし、旅行が延期となった青大もまた、帰広する。
原作でもあった、枝葉柚希回帰という、ラブコメ時代の君のいる町最大の見せ場が迫っています。

「帰ってきたら、続きを…」~悠長さが失した、青大の心

帰ってきたら…今、御島明日香が非常に艶めかしい。原作よりもそこはかとないエロさが彼女に備わったようだ。
彼女そのものは正に天下一品。恋人にするなら、断然明日香をおいて他にはない。性格・容姿、青大に対するデレッぷりは視聴者の諸兄の心を捉えて止まないだ ろう。

それなのに、彼女は失速する。一連のストーリーはオリジナルから大きく変わっている。今回の冒頭では「帰ってきたら、続きをしよう」と囁いた場面は、原作 よりも踏み込んだものになった。
だが、御島明日香彼女の本質的な部分は変わっていない。
青大に対して、一縷の不安を持ちながら、根本的にそれを払拭しようという気概がない。枝葉懍の策もそうだが、青大に対する放任的な信頼では、明日香自らが 死地に陥ることに他ならない。
「帰ってきたら、続きをしようね」とは、悠長な話である。青大にとって、心裡から柚希絶対優位の壁を打ち壊す好機を何故ふいにしたのか。青大がヘタレであ る、ということも理解出来なくもないが、ゆえに明日香は右顧左眄の青大をしっかりと捉えておく必要があったように思えるのである。

由良尊が運転免許を取得?

迎えに来たでここに来て吉田氏も一気に原作改変を本格化させている。青大が一人で帰広、浅倉清美不在、広島組と枝葉懍が初見とさ れているなど、枚挙に遑が無い。
クライマックスが近いとは言うものの、終盤に至って原作改変による御島明日香惨殺場面への強引とも言える布石の打ち方は、吉田氏も相当苦労したことであろ う。
まあ、浅倉清美の除外は一定の理解が出来る。そもそも、原作連載も重要な立ち位置にあったというわけでもなく、アニメ版でも枝葉柚希を平手打ちにした、と いう程度のものであって、操舵に苦労していることを窺わせる。
加賀月
そして、本編連載もアニメ版でもそうだが、神咲七海が存在感の発揮に苦労し、加賀月は予定調和のサービスシーン要員。鷹岑から言わせれば、広島編の究極の 真ヒロインは加賀月で良いんじゃないか? と思うほど。
枝葉柚希回帰が近いとは言うものの、全体的な流れは非常にまったりとしている気がする。
ニケツ◀目立つニケツ場面

第10回で目立ったのは自転車のニケツシーンである。本編連載でも、見開きで描かれるほど青柚のニケツは印象の強いものであったと言える。
まあ、これと言ったようなシーンではないと思うのだが、青大の胸に強く残る柚希との思い出という意味においては有効 だったのかも知れない。
それの効果もあってかどうかは知らないが、特段背景の秀麗さは目を引く。カメラワークによる背景の作り方には特に力を入れているのかなと言う率直な感想だった。
青大を廻る暗闘、余裕綽々の枝葉柚希

御島明日香派の諸卿からすれば、既に燃え尽きた灰状態で視聴していることだろうが、枝葉柚希の余裕さは枝葉柚希本当にどこから来るものなのか、知りたいところもある。
一縷の不安を抱えて郷里に戻った明日香に対し、柚希は淡淡と青大と時を過ごす。恋愛に対する考え方の違いなのか、同じ信頼の度合いが違うのか、陳腐な言い方ながら、運命の赤い糸とやらが見えているのか。
とにもかくにも枝葉柚希の余裕さが鼻に付く人もいるだろう。お前のお陰で大変なことになっているんだ、と。
だが、最初から勝負が付いているこのラブコメアニメは、終始青柚のまったりとした雰囲気で終劇を迎えることになるのだろう。
あら悲し御島明日香。たれぞ彼女を救い給え。