見方を変えればNTR正当化祭りの胸糞漫画

ホリデイラブ~夫婦間恋愛~▼ホリデイラブ~夫婦間恋愛~ 第1集

こやまゆかり/原作  草壁エリザ/作画
評価★★★★★

マンガボックスで一際異彩を放つ、大人向の恋愛系作品。少女漫画やレディコミの第一線で活躍する「こやまラ草壁」というる史上最強のタッグが放つ、結婚後 カップルの恋愛観を焦点に置いている。
テーマは「不倫」、「一時の過ち」と言うことだが、第三者の冷めた目線で見れば、NTR。つまり「寝取られた」者同士の鞘当て合戦である。
幸福な夫婦に突然訪れた破綻の危機。仕事熱心で家族愛に溢れた夫が、同僚のふざけ半分に出会い系サイトで知り合った女性に中てられてゆく。一方で、ネイリ ストとして順調に収入を得る妻も、顧客の勧める出会い系サイトの在り方にまばゆさを感じる。
大人女性向の恋愛漫画の旗手が、幸福な夫婦が不倫に落ちる過程をある意味レゾナンスさせる手法、キャラクタの置かれた状況描写の緻密さはさすが目を瞠るも のがある。夫が相手の女性に一瞬の迷いで過ちを犯してしまう心理、それを赦すことが出来ないと言う妻の考え方や、不倫相手の恐ろしさなど。
だが、恋愛そのものに一歩身を引いた立場から読み解いてみると、登場人物は皆、必ずしも悪いところが無いとは言えない。クズとまでは敢えて言わないが、一 方的に夫に過失がある、という描き方で始まっている第1集からすれば、男性読者としてはいささか全面批判という気勢は上げにくい部分がある。
「出会い系サイト」がある意味この作品のキーワードであることを考えると、メイン主人公である妻の方も何らかの係わりがありそうだが、展開の仕方によって は、NTR正当化の、高尚なる漫画になるだろう。
故にマンガボックスの連名で、陳腐で青臭いラブコメディが多い中で、アダルトテイストの作品は稀有で光っている。ストーリーは常に緊迫しているので続きの 気になる作品である事に間違いは無い。

そりゃあ、こんな美男美女夫婦ならねぇ

恋愛かぁ(遠い目)。そう言えば、そんなっぽいことも……うんたらかんたら。まぁ、それは良いとして(笑)
レディコミか、少女漫画か。そちら方面で大活躍されているというこやまゆかり氏と草壁エリザ氏が手掛けるホリデイラブ~夫婦間恋愛~。鷹岑も Twitterで先読み等々で読ませて頂いているんですが、何というか、この主人公・杏寿(あず)。初期設定は30歳と言うことだが、見た目ですよ? あ くまで初見の見た目。第1話で、こんな可愛い女房を持っていて久方ぶりに家に帰ってきて何もしないで爆睡する旦那・純平。だめ! ダメですわこの男。

結婚七年目。

沢田知可子さんの名曲「Day By Day」じゃないけど、3年目から恋人じゃなくなるの……と言う気持ちはそうなのかも知れない。多分。経験が無いから何とも言えないけどさ。それでも、第 1話を見れば俗に言うラブラブバカップルそのままで行っているのに、風呂に一緒に入らず爆睡。純平、せめて風呂に入ってから寝ろや!って思ったしね(笑)

セックスレスと新たな出逢い?

鷹岑は多分、一生涯理解出来ない部分であると思う。ホリデイラブの上に限っての話だけど、杏寿は普通に若くて美人。純平の不倫(というか一夜の過ち)の相 手・里奈は清楚系ビッチ(?)。いやはや、道理なのだろうがどうにもこうにも純平、男側に分が悪い。杏寿のような、スタイルも良く若くて可愛い女房には爆 睡。しかし、なんちゃって出会い系でたかがメール数回やりとりした会ったこともない、顔写真すら知らない相手にはときめく。確かに、純平が杏寿に飽いていると言われても仕方が無い。だが、こういう話って概ね男側が悪役となるのは世の常。
テレフォン人生相談でも良く持ち込まれる話題ではあるが、加藤諦三先生からすれば幼少時の思い出が影響しているのではないかと去れるも、はてさて高森夫妻 の幼少時おろか、特別編で10年前の二人はいかにとばかりで、特別編がいわゆる一般的なラブコメ本編の集約。ホリデイラブは、そうしたラブコメのハッピー エンドの後日談として捉えれば、なお面白みがある。
さてはてセックスレス。長い間性交渉が無い夫婦のことをこう言うそうだが、長い間とはどのくらいなのか。五日か十日かひと月か。誰がそのボーダーを引くの かは分からないが、セックスをすることが大事なのか、心の繋がりがあれば大丈夫なのかという話にもなる。夫婦一つの布団で休んでいても、どちらかが身体を 求める、という情景が見えるが、やるときは最初から互いが素っ裸になるもんじゃないのか。長く一緒に住んでいて、互いの善し悪しも良く見える中で今更、 ムードもへったくれも無い。コスプレすれば良いのかね。
まあ、ただ、ホリデイラブを客観的に見た感じだけでは、杏寿くらいの可愛さを保っているとするならば、俺が純平だったら週末は気炎万丈なのだが(笑)
漫画だからそうだと言ってしまえば終わりだが、登場人物皆、美男美女でスタイルが良い。しかし何故か、純平が分かり易すぎるほど下手をこいている。里奈と のアバンチュールを、よりにもよって一階のリビングではやらないだろう。アダルトもののビデオや成人向け漫画でも、なかなか不倫現場を一階のリビングでと 言うあざとさはない。里奈の旦那にサンドバッグにされる純平には違和感があったわけで。

NTR正当化祭り

マンガボックスでは読者の感想が悉く掲載され、リアリティがあるとか、体験談まで募集している様なのだが、それをひっくるめれば、NTRの正当化奨励祭り、といった感が鷹岑にはある。
一般少年漫画や、青年漫画の大部分はあまりNTRを賛美してはいないように思えるのだが、ここは女性視点と言うことなのだろうか。旦那が一時の過ちとはいえ、浮気をしてしまったのだから、大いに傷つき、自分もその傷を癒やす場があればいい・・・。

このレビューを書いた日の日中に「テレフォン人生相談」で、奇しくも浮気をした妻と別居していて、子供が小さいからやり直したい。と述べている男性の相談 があたが、相談者は女性弁護士。弁護士のアドバイスを淡泊に肯定をする男性に苦言を呈し、妻の不満が分かると、不倫をした妻に同調する雰囲気を見せたが、 ここがフェミニストの真骨頂。男性の気配りが足りないという結論。ひどいものである。

夫・高森純平が過ちを犯したから、その気はなくても妻・杏寿もしかり。まさにNTR祭り。不倫ドラマに正者は無し。石田純一氏の名言「不倫は文化」は、モラルハザードの最たるものである。
しかし、ホリデイラブは確かに面白い。続きが気になって仕方が無い作品のひとつではあるが、純平にしろ杏寿にしろ里奈にしろその旦那にしろ、誰一人にもシンパシーを感じるキャラが居ないというのも、また面白い部分ではある。