向心力が働く“龍”の魔力、第4夫人候補に迷妄する主人公

ハレ婚。第4集■ハレ婚。第4集

総合評価★★★★

non氏が描く一夫多妻物語。第28回から第37回を収録している。“リハビリ”と称して小春と夫婦関係を構築しようとする龍之介と、ハレ婚。を平然とこ なす龍之介に対してひどく嫌悪感を剥き出しにする小春。龍之介の悍ましいほどの愛情に堪えかねた小春は伊達家を出奔する。また今集は中後半に新キャラとし て女子高校生の“松橋うらら”が登場。内気で華奢な黒髪ロングヘアの美少女という、小春と対照的な立位置として人気を集める。
今集の特徴は、龍之介を中心とした“ハレ婚”生活や、柚子・まどからの妻達に激しい嫌悪感を覚えながらも、家出とうららの登場によって小春の心情に変化を もたらす契機となるとこに焦点が当たる。

この作品のコンセプトに加え、龍之介の行動思考や小春のワガママぶりが、一部において評判が芳しくないとされるのだが、一夫多妻制というある種の非現実的 なファンタジー作品である事を考えると、そう言う部分を割り切って読み進めると意外と面白い。
あくまでも男性読者目線としての感覚だが、小春が激しく龍之介を嫌悪しながらも、確実に彼に惹かれてゆく様を感じる部分を見るというのが、ある種の支配欲 のようなものを刺激する根源なのかも知れない。
物語全般としては、伊達家のハレ婚生活がややマンネリ化した部分に一石を投じる「松橋うらら」が、内気で素直な高校生美少女キャラとして龍之介の第4夫人 候補的な立ち合いを見せてインパクトを強くしている。

暴君に惹かれてゆくワガママ娘と、作中特異な従順キャラ・松橋うらら

ネット上では評判の悪い「ハレ婚。」ですが、鷹岑的には非常に気に入っている作品の一つ。舞台設定に法れば批判する部分は少ないように思えるのだが、どうも清廉な恋愛譚を望む人は多いようで(笑)
第4集まで読み進めてきたが、小春は相変わらずツンデレのデレの要素が1つも無く、龍之介は腹黒で今ひとつ嫌われ者キャラである。
鷹岑は一応、読む上で舞台設定の上に立った感情移入を以て物語に順応するように心がけてはいるものの、龍之介はややつかみどころがない。

●良識派・柚子

第一夫人・柚子は、第4集に至って、ハレ婚家族という、ある種の非現実的な環境の中で、唯一常識を弁えたキャラクタとして物語基盤の要となっている。彼女 がいなければ、この作品はただのハレム漫画で終わっていたと言える。また、夫婦生活という意味合いにおいても、直接的に龍之介とのセックスシーンを演じた のは、今のところは柚子のみとなった。
そして何だかんだと言いながら、何よりも柚子が一番小春を気に懸けているというところであろう。見た目は派手だが、ある意味彼女の動向が伊達家の行く末を左右していると言って過言ではない。

松橋うらら●小春の出奔と、松橋うらら

「嫌よ嫌よも好きのうち」などという訳ではないが、言行不一致の小春の姿はある意味、滑稽にも見える。ハレ婚の環境と龍之介の変態的愛情に辟易とした小春 は伊達家出奔を決意するが、引き留めてくれない、むしろ楽しんでいる様子の龍之介にかまってちゃんAクラス。子供のように駄駄を捏ねる。
本心と現実の行動の齟齬に藻掻き出す小春と対比するようにフェードインしたのが、女子高生・松橋うららだ。黒のストレートロングヘア。華奢なスタイルに、 内気でやや人見知り。男性交際経験を匂わせない「処女(龍之介談)」という、男性読者の理想を絵に描いたようなビジュアルは、ある意味あざとさを感じさせ るほどである。

地味ながらも、印象的なフェードインは、この世界で認められたとされる、最大4人の配偶者を持てるという設定の中の、残り1枠。第4夫人の最有力候補とし て、小春の実家である喫茶店のアルバイト店員という定位置についた。龍之介からコンプレックスだった額を褒めちぎられ赤面。心も掴んだのが素晴らしい。

作者のツイッターで実施された人気投票アンケートでは、鷹岑は個人的には小春の母親・直子が好きなキャラなのだが、物語全体を俯瞰して、うららに一票を投じている。