828
・ブランカ国王戴文帝、天空の勇者を引見(西文家文書)
・エンドール王国、娯楽自粛令を廃する(オラクルベリー蔡家秘伝)
・陽西砂漠(アネイル砂漠)に記録的大雨。ブランカ王国修理大夫騎月教俊、泥濘による向こう3年間の陸路による往来不能を戴文帝に奏上(西文家文書)
・キングレオ王高宗、光神宗経に正一位太政大臣・近衛大将を追贈(光神家家譜録)
・戴文帝、画師姜政に天空の勇者の肖像を描かせる(西文家文書)
・ガーデンブルグ女王遼倫、囚人バコタを恩赦するが、バコタは獄死(ガーデンブルグ古文書)
没/鄧稜(50)
829
・スタンシアラ国王・励笑王董奕、罹病し王太子董詮に譲位(スタンシアラ王国公文書)
・キングレオ王高宗、太政大臣光神高経にハバリア~エンドール間の定期連絡船の復興を命じる(キングレオ王室譜)
・天空人苻詹が来臨、天空の勇者を引見(天空秘伝書)
没/朝羽惟忠(34) エルフの里長・厲雲
830
・キングレオ王国太政大臣光神高経、アッテムト鉱山を閉山し人民の移住を公布命令(光神家家譜録)
・光神高経、私財を多額投資し、ハバリア~エンドール間の定期連絡船を復活させる(キングレオ王室譜)※2
・アネイル太守研順継、リバスト(研駿信)の銅像をブランカに寄進(西文家文書)
没/励笑王董奕(61)

※2 光神高経の施政 ……  高経はキングレオ王国右大臣・家経の次男である。初名は統経。若き英才と誉れ高かった兄・宗経がバルザックの凶刃に斃れてからはひたすらに王室再興の機 会を窺っていた。王族ただひとりの生存者である、幼少の獣王権を擁立し、マーニャ・ミネア姉妹の助けを受けて奸賊を討ち、王室を再建させた。
太政大臣に就任した高経は、高宗となった獣王権の右腕となって荒廃した王国の復興に尽力し、数多くの功績を残したが、その偉勲の中でもアッテムト鉱山の廃止とハバリアの定期連絡船の再開は取りわけ評価が高い。
高経は度重なる瘴気の発生に苛まれてきたアッテムトの住民を救うために、あらゆる政策を提示してきたが、いずれも思うような成果は上げられなかったのである。
アッテムト鉱山は希少金属の含有量が非常に高いとされてきたために、明宗(獣王瑄)、桓宗(獣王慇)、哀宗の三代に亘って採掘を奨励してきた国家の一大プ ロジェクトであった。しかし、結果として封印されていた魔王エスタークを人間の手によって解放してしまうという結果となってしまい、欲望が招いた天罰に相 違がなかったと言えよう。
高経は苦心の末に、アッテムト鉱山の強制閉山を発布し、アッテムト住民の移住を命令した。反発の声の方が大きかったが、高経は押し切った。結果としてアッテムトの住民は救われ、情勢は安定を取り戻したのである。
ハバリアの定期連絡船の廃止に伴って商工業の価値が急落、税収不足による財政逼迫に陥っていた王国だったが、高経によって定期船は再開された。高経は私財 の殆どをハバリア港に投資し、十数年ぶりに再開第一号がエンドールに向けて出港した。高経の投じた額は、最低でも1億ゴールドに及ぶとされている。
この航路の再開が呼び水となって、再び王国は昔日の繁栄を取り戻してゆくこととなる。