休日~夏の日のグラにて~2010年加筆修正版

第13章「淡き想い」

近日掲載


イメージCV

ルディス・カーリン … 貴兄/福山 潤

カチュア・チェスティ … 佐藤 利奈


 ルディスは歩を止め視線を向けた。オーカーのチェック柄のスカートからすらりと伸びる、黒のソックスとローファーに飾られた形の良い脚が眩しい。
「ねえ、帰るの?」
 僅かに肩で息をし、両膝を押さえるカチュア。
「見ての通り」
「あはは。良かったあ。――――たまにはさ、一緒に帰らない?」
 その言葉にルディスは一瞬思考を巡らせ、怪訝な表情を向ける。
「あの、たまにはって……。今考えたんだが、君と二人で歩いたことは一度もないだろう?」
「あっ、そうだったかな」
 わざとらしく首を傾げるカチュア。
「じゃあ、言い直すね。一緒に帰りましょ?」
「…………」
 ルディスは小さくため息をつく。だが、無言の承諾だった。