鷹岑昊のTOD的こころ Part.70
南川洋子(同級生2)
心配するなよ、絶対に平気だって
南川 洋子
■血液型/O型
八十八学園の乱暴女。主人公とは1年の時からよく喧嘩をしていた。
オートバイが大好きで、家もバイク屋を経営している。
(公式紹介より)
実演CV:中村 尚子・菊池 いづみ 他 / 鷹岑的イメージCV:庄司 宇芽香

タカミネコウのTOD的こころ。第70 回はフリーダムなるわたしの中のもう一つの世界、永遠なる恋愛ゲームのパイオニアでレジェンド。同級生2の世界をか んがえる。
講演、鷹岑昊。原作・注目、同級生2

親友の相談を契機に気づいた恋愛感情。主人公に選択の余地なく引導を渡す

オリジナルの同級生2をプレイした、1995年当時。この南川洋子のキャラクタを見た瞬間に真っ先に想起したのは同じ御大・竹井正樹画伯が手掛けた「卒業 ~Graduation~」という育成シミュレーションゲームのキャラクタ・新井聖美であった。制作陣も新井聖美を意識したキャラクタの肉付けを行ってい た旨を述べているようなので、卒業シリーズ以来のファンとしては、実に感慨深いキャラクタであったことは否めない。名前も「南○洋子」。女優としても南 田、南風、南野(こちらは洋ではなく陽だが)など、イントネーションが実に馴染み深い。

ツイッターのタイムランで、先日「嫁にしたいゲームヒロイン・ベスト5」という記事で何気に思考を巡らせた際に、第3位として南川洋子を想起した鷹岑、実はこれをきっかけとして再び八十八町の世界にタイムスリップしたいと思ったのである。
南川洋子はかくの通り、新井聖美が好きだったという流れからか当時から特に好きなキャラクタで、まあ「嫁にしたい」と言うのには相当な語弊はあるが、同級 生2の全ヒロインの中では比較的受け止めやすく、キャラクタ設定的にも、勿論ビジュアル的にも我が好みであったことは紛れもない話である。

DQNとは語弊がある純真一途な家族友人想い

南川洋子は男気質で小事に囚われない性格だが、その言行から不良(DQN)と位置づけられるファーストインプレッションだ。また、全ヒロイン中で初代に登 場した『成瀬かおり』に比した、広義でのワイルドっぽい雰囲気を持つのも彼女のみで、そういう意味でも存在感は際立っている。南川洋子(バイク)
しかし、実際に本編を進めてゆくと、そうしたDQNとは正反対の恋愛に不器用だが人に対して優しく、頗る人情に篤い性格の持ち主であるということが判ってくる。

主人公・竜之介と親友・川尻あきらの友人。その川尻あきらに想いを寄せられると言うのが基本的な部分であるわけだが、あきらの想いを知るや友情とのバランスに苦悩する事になる。
洋子編の本流を逸れた温泉旅行を経れば、洋子はあきらと帰結する。しかし、あきらの性格の良さを考えてみれば、主人公・竜之介の奔放ぶりを比較してあきら に同情してしまう部分も少なくなく、ヒロインを他の男に取られてたまるか。という独占欲がなかなか起きにくい部分があるのだ。

洋子も前述したように、いわゆる江戸っ子気質というか非常に男気に満ちた性格であるがゆえに、あきらが惹かれるというのも不思議ではない設定ではあった訳で、彼女にそれほど思い入れの深くないプレイヤーからすれば、比較的祝福を贈ることが出来るカップルと言うことになる。
実際の話、元ヤンとスポーツ馬鹿という組み合わせは創作の世界では馴染みが深い。サイドストーリー的な見方からすれば、非常に書きやすいのである。

家庭志向の男の夢

洋子の付加価値というのは、何と言ってもその家庭志向にあると言って良いだろう。家業がバイク屋(整備工場)という事もあっての趣味・特技を二輪車として いる。卒業の新井聖美も大型バイクを乗りこなす女性ライダーという特徴があるために、洋子が新井聖美のセコンドフォームという見方をされるのもある意味当 然なのかも知れない。南川洋子(初日の出)
そうしたスキルが大きく影響しているのかも知れないが、彼女は非常に家庭的な志向を持っている。家業の継承に強いこだわりを持っていることで、父親との摩擦に悩んでいることをベースにされているのだが、ここがモチーフされた新井聖美とは違う部分ではあるようだ。

主人公・竜之介からのさりげなきアドバイスや背中押しを受けてゆくうちに、洋子は竜之介への想いに気がついてゆく。という流れなのだが、想いに気がついた後の洋子は非常に行動が早い。
初日の出を拝するために、八十八海岸に佇んでいた洋子の元に竜之介はやってくるが、「来ると思っていた」と呟いたその瞬間に、洋子は竜之介を愛し始めている自分にようやく気がつく。南川洋子編の最大の見せ場である。
実は、成年指定向と言うこともあって、元々はエッチシーンが売りなのだが、そこに到る心情描写はとにかく秀逸と言える。家業を継ぐことと、自らの分身とも 言えるバイクを手放さなければならないという苦悩。そこへ親友・あきらからの片想いが重なり逡巡する気持ちを後押しする竜之介に対する、本当の気持ち。
この八十八海岸の初日の出の場面は、さながら武士が花と散る切腹のクライマックスを思わせるような、洋子の虚心坦懐さを見るのである。因みに、このイベントの後洋子のライダー雄姿は拝めなくなる。バラ色!?

それからの洋子はツンデレの領域を超えた、主人公への盲目的な愛に奔るのだが、加藤みのりが受動的な妄信に対して、洋子は能動的な部分があるということだ。
「欲しいもの(竜之介)は必ず手に入れる」と宣言し、竜之介の性格も利用して巧妙に罠にはめてゆく様は、少し悍ましい部分さえあるが、世の男性たちから見 れば、こんな女性に一度は想われたい。と考えるのが一般的であろうと思われる。しかも、洋子は非常に家庭的で竜之介の好みの女になるとまでいうのだから、 実にかわいいものではないか。なんて、今の世からすれば本当に時代遅れだ。と言われても仕方があるまい。

彼女が言う「バラ色の人生」というのは、億万長者となって豪勢な生活を送るということではなく、バイク屋を営みながら、愛する人との子供を育て、小さくて も幸せな家庭を作ってゆきたい。などという月並な色気もない人生なのかもしれない。しかし、そんな月並な人生すら、今の世の中はなかなか難しい。

女が幸せと思えることが真の幸福

竜之介との将来を、洋子はやや暴走気味に思い描くのだが、実際としてそれこそが夫婦恋人・家庭として俯瞰した場合、一番しっくりくる素因なのだろうと思える。
女性が主導する、女性が「幸福」と思える環境というのはやはりうまく行く。現実的か、理想的か。という事なのかもしれないが、女性は日々の暮らしの中でやはり現実的になってゆく。男はやはり、どこかで理想を追い求めてゆくような部分も否定できないだろう。ショートカット洋子

竜之介はやはり遊び人の気質がある。破天荒な生き様を傍目ながらも見てきた洋子にとって、竜之介を確実に仕留める策は、彼女のように確実に将来像を描くことができる、肝の据わった楽観主義者でなければならないのだろう。
「子供ができた」
これは史上最強の引導である。フェミニズムの要素が強い竜之介を封じる究極の魔法。バルスに勝るとも劣らない言葉だろう。
強制的に洋子に終結することになるわけだが、この時の告白が仮に嘘だったとして、それが竜之介の人生を大きく変動させるものだったとしても(もしかする と、その間に同様のことが起こらずとも限らないわけで)それを結果として受け入れることができるのは、洋子なのではないかとも思える。
妊娠の《事実》を周囲に告げて洋子自身も覚悟を決めたのだから、竜之介もそこは告白待ちの女性たちをすべて蹴ってまでも洋子を選択すること、しかなかったのではないだろうかと思うのです。

人間、人生の半分も過ぎれば若い頃のような冒険心もいよいよ失い、安定性を求めるようになってくる。というよりも、そういう冒険心が持てなくなる。つまり、やる気が失せてくるんですよね(笑)
そうなると、アイドルの可憐や、妹のような存在の唯、幼馴染みの隣家の美少女・友美、と言ったような設定そのものが非現実的な知己ではない、ささやかなものに安心・安堵感を求めるようになるのです。
今の鷹岑だったら、洋子も決して悪くはない。自堕落な生活を送ったものでからは殴る蹴るくらいは受けそうな気はするが(笑)