ドラゴンクエストⅪ~過ぎ去りし時を求めて~プレイエッセイ②

デルカダール~ナプガーナ密林

デク、義心を発し主従を救い武烈王の追咎を遁れ テオ、亡郷の水先を綏んじる


イシの村を旅立つわが主人公・フェルナンド。半ば追放のようにも見える強制的な旅立ち。為来りならば、村長、せめて娘のエマには説明しておいてあげなよ。と突っ込みを入れたくなる。エマのお守り
幼馴染みで故郷で別離する。ドラゴンクエストⅣのシンシアを想起するが、戦闘シーンでは拳を振り上げて応援、何の役にも立たないと思いきや、ピンチには一応薬草と魔法の小瓶を用いて回復役という地味にプロローグの慣れるまでをサポートしてくれたエマ。
前回のエッセイで、このプロローグが大河ドラマ「花の乱」の第一話を彷彿とさせる。と言ったが、もしもそうだとするならばエマは伊吹三郎(子役:黒田勇 樹)のような存在。鬼の子と流されてきた主人公・フェルナンドを「椿」と命名し、村里ぐるみで匿ってきたが、運命に導かれて都へと旅立つ。日野富子とし て。みたいな。
閑話休題。まあそんな旅立ちの日に、フェルナンドはエマから餞別としてお守りを貰う。いわゆる「エマのお守り」である。
ああ、これでパーティ女性メンバーとのロマンスはなくなった」と、 幼馴染み・想い出のアイテム縛りは、シンシアの羽根帽子、ビアンカのリボンときたものだ。ストーリーを深く吟味したい私からすれば、エマのお守りを道具袋 の底で他のアイテムの下敷きにする訳には行くまい。心情的に外せないのである。困ったものだ。それよりも何よりも、創作クラスタの端くれとしてみれば、公 式に多分これから仲間に加わって行くであろう女性メンバーとの恋愛フラグが立ちにくいイベント設定だなと言う感じだ。まあ、それは進めてみれば分かる話で はあるのだが。

デルカダール王国。プレイ開始後の初めての巨大都市。これがまた広い。目が回るようなマップ。3D酔い患者にはもう駄目だろうとばかりの複雑でくるくる回転。プレイしていなかった、Ⅸ・Ⅹと2作の間に、随分とドラクエのシステムも変わったのだなと言う印象。これに慣れるのにはもうちょっと時間が必要かなと思った訳で。
デク(泰九)そ れよりも、謎の少年・カミュ。カミュと言えばセイン・カミュというベタなボケは良いとして、ファイアーエムブレム・暗黒竜と光の剣の敵将・カミュを真っ先 に思い浮かぶ世代である。まあ、名前なんだから。と言われればそれまでなんだが、思ったのはカミュという名前の持ち主は美男子なんだな。というのが共通事 項。FEは敵将・グルニア王国の大将軍。ロミオとジュリエットばりのアカネイア皇嗣・ニーナ王女の想い人であった。
こちらは謎の少年だが、どうも盗賊上がりの気配だ。水滸伝の地賊星鼓上蚤・時遷ではないが、なかなかの手先の器用さには自信があるような雰囲気である。
あ、そうそう。水滸伝と言えば私もDQⅪをプレイする少し前までドラマを全話観たばかりだが、梁山泊は義侠の集団。そんな繋がりという訳ではないが、カ ミュには相方のデク(漢字表記で【泰九】とでも書くのだろうか)が物語の水先案内のひとりとなっている。栄達の噂を聞いて激怒するカミュだが、デクはカ ミュに対する義心を発する。
ミランダ(デクの妻)王国上流階級の領域に店を構え、若くて美人の妻を迎えているという絵に描いたリア充だが、水滸伝であったら一刀のもとに鏖に遭い、家屋敷に火を付けられるというフラグが立つのだが、まあカミュにそこまではさせないだろう。

物語としてはまだまだ序の口のあたりなのだろうが、ここに来て早くも仲間の義心を垣間見るというのもこそばゆい。わざわざ盗賊の元相棒に妻まで出してくるというのは果たして今後の主人公一行の人物相関のメタファーなのかなとさえ勘ぐってしまうのである。

憧れるデルカダール下層民街

ダイアナ(デルカダール下層民街・踊り娘)デルカダールで私がいいなと思った場所は、下層のスラム街である。今の日本の現状と同じような各社社会に取り残された人々をイメージしているのだろうが、私も住むとするならばこのスラム街を選ぶ。
金があって、食うに困らない生活は勿論いいに越したことはない。だが、人の心はどうだろうか。と問うた時に、果たしてそれが豊かさの一角であるかどうかがわからないからである。
まあ私は元々貧乏性で貧すれば鈍する。というタチであるから、多分上品な生活や人間関係など構築出来ないだろう。また、そう言うのも性に合わない。分を弁 える。という言葉もあるように、下手に背伸びをして邯鄲の歩みをするよりも、自分に合う生活環境を選んだ方が余程賢くはないだろうか。
このスラム街のアイドル的存在として、踊り娘のダイアナがいる。上流階級民からも頗る人気が高くて、売れに売れている王国随一の芸妓。水滸伝の李師師か(まだ水滸伝ネタを引っ張るか)
彼女が曰く「こっちの方が気楽でいい」 そう言ったとされるダイアナの心境は、奥が深い。

中後半への期待を持たせるビジュアル

ギガンテスグラウンドビューの世界、敵キャラがフィールド上にいると言うのはドラクエらしくはないというのは古い考え方かも知れない。少なくても、私はⅧの時すんなりと受け容れられたから、むしろ新鮮。だからこそ、見えない物語の先行きに不安と期待が溢れるという楽しみがある。
それはそうだ。序盤のフィールドでいかにも「ヤバそう」な敵キャラを見つけた時は、「まさか行けないよな」と思ってしまったもので、そりゃあいきなりギガ ンテスとかの後半以降の強敵の影を崖下に見下ろせば、怖くなる。エンカウントなんてしたものでからは勿論、一瞬で昇天。試しにあの場所へ今、行けるの か……? と思ったところ……。まあ、そこは楽しみに。

ドン・ガアテの末裔? 満馥

マンプク(満馥)ドラクエⅣの建築家、ドン・ガアテ。一朝一夕にして断崖絶壁に架かる橋を修繕修復する名工。そんな彼を彷彿とさせるのが、マンプクという樵夫。
マンプクというカタカナ表記だと腹満たすみたいなので、満馥と言う漢名にしておこうか。
彼はドワーフなのか、と思ったが人間で、やはりドン・ガアテと同じくストーリーの水先案内を勤めるキャラだ。とある事情で壊れた橋を直すことになるのだ が、ここもまた、変形とはいえムーンブルクの王女をも想起させる。ちょくちょくと歴代ナンバーのエッセンスを感じさせてなかなかな演出である。
まあ、デクやダイアナにしろ彼、満馥にしろ多分ちょい役なんだろうが、それでもしっかりとしたビジュアルを持たせてストーリーの水先案内として存在しているのだから大したものだ。こう言う部分が、ドラクエらしき一期一会の醍醐味なのである。

それでは、また次回。