ドラゴンクエストⅪ~過ぎ去りし時を求めて~プレイエッセイ⑦

グロッタの町

ハンフリー、真武の神髄をフェルナンドに見出し道を定め 謎の美姫、勇者を弄しユグノア故城に天命を導く


故城の途次、バンデルフォンの麦畑を越えた先にある闘炎と美女の煉瓦街

ダーハルーネ処 女航海、と言うと語弊がある。しかし、我らがフェルナンド一行にとってはまさに処女航海だ。海を見るのが初めてというものが2人。フェルナンドも当然、見 た事が無い。目的地は近郊のソルディコの町ではなく、遙か北東のバンデルフォン地方という。数多くの寄港地がマップに記載されているが、逸る気持ちも抑え て向かう。途中の無人島などにも寄港して素材などを集めていきながら。
バンデルフォンは穏やかな海と山の乾いた風にそよぐ、美しい麦畑が連綿と続く地域。ふわーっと思いながらも、バンデルフォン故城の廃墟なども散策。クエストもひとつこなしながら、長閑な丘陵田園風景を越えてゆく。
高原地帯を進めば見えてくる城塞都市。DQⅠのメルキドよろしく、澄み切った乾いた風の中に、その町がある。闘技都市・グロッタ。

さてさて、ここからは我が拙い即興SS形式で語って行こう。

モブのDQⅢ型女戦士、フェルナンドを魅了する

闘技場の町と聞いていたけど、町に入ると突然、女の子の香りがした。「いらっしゃい。ここはグロッタの町よ」
踊り子というか、遊び人とでも言うのだろうか。サンディーや、ダーハルーネで見かけたような格好の女の子が目立つ。闘技場都市というならば、荒くれや頬に傷を負ったような強面、無骨者たちの汗臭さが充満しているのかと思っていた。
七色の枝を得るために、僕は闘技大会にエントリーしなければならないことになった。行こうと、カミュやシルビアが言う。「うん」僕はこくんと頷き、向かっ た。受付はすんなりと終わった。宿に帰ろうときびすを返した時。僕の様子を見ていた、桜桃色の兜を被り、肩から胸元を露出させた鎧を纏った若い女性戦士が 話しかけてきた。DQⅢ型女戦士
「こんにちは~」まるで水着のビキニかと思われるような皮の胸当て。これで敵の攻撃を防げるのか……。と思いつつ、じっと見る。僕の顔を少し垂れ目の潤んだ瞳で見つめてくる女戦士。僕はじっと見つめ返す。結構、大きな胸だ。
だが、僕の背後でセーニャのどす黒い氣が、ゆらゆらと漂ってくるのが判る。よく言われる。「フェルナンドはいつも真顔で、何事も真剣な表情をしているが、結構エロい
そうなのだろうか。自分ではよく分からないんだ。
「うふふ、見た目はすごく華奢で髪の毛もすごくサラサラ~」と鼻に掛かった声ですり寄ってきながら、僕の髪を触ってくる。「フェ、フェルナンドさま! 早 く宿に行きましょう」セーニャが、咄嗟に僕の手をぐいと引っ張った。「あん。でも、人は見かけによらないってゆうもんね。あなた、もし闘技大会で優勝した ら……私と――――」
そこまで言うと、姿が消えた。そう、セーニャとベロニカに腕を強く引っ張られていたのだ。
サンディーの城下町にも、彼女と同じような格好をした女戦士がいたが、なんか雰囲気が違う。どうしてだろう。これが、エロというものなのだろうか。

ぱふぱふコーナーとは何ぞや。考える人

1人、グロッタの町を散策した。僕がイメージしたものとは本当に違っていた。女の人、美人が多い。と言っても、僕はエマやベロニカ・セーニャくらいしか若 い女の子は知らない。しかし、この旅で行く先で多くの町娘や商売している女の子たちと知り合える機会が増えた。美人の基準はまだよく分からないけど、セー ニャが美人で、ベロニカが可愛くて、エマは……どうなんだろう。ぱふぱふ娘・グロッタ篇そんな中で、グロッタ上層階。酒場などもある通りで、また女性に呼び止められた。清楚そうな、長くまっすぐな髪の魔法使い然とした若い女性だ。「ここはぱふぱふコーナーよ。ねえ?ぱふぱふしてく?」
ホムラの湯女の子、サンディーのマッサージ、ダーハルーネの路地裏の子。皆、婉然としていたが、彼女は凜とした雰囲気を持っている。そんな彼女の口から「ぱふぱふ」って言葉が、何故か奥深いような気がした。
「はい」僕がそう答えると、にこりと笑って寝台に導く。「あの、ひとつ訊いてもいいですか」僕が真顔で彼女を見つめると、彼女は瞼で頷く。「ぱふぱふ、って何でしょうか」
僕はホムラからの一連のぱふぱふについて尋ねてみたのだ。すると彼女は笑って僕の肩に手を掛けながら囁くように言った。「女の子に、モテるようになる御呪 い? ってところかしら、ね」 首筋にかかる彼女の生温かい息がこそばゆかったが、僕はその意味を深く咀嚼しようとしていた。

ビビアンとサイデリアの太もも美人

ビビアン・サイデリアこ の場にセーニャがいなくて、何故かほっとする。彼女が仲間になってから、僕が町の女の子と話をすると不機嫌そうになる。どうしてだろう。何かしたんだろう か。とついつい真剣に考えてしまう。『ぱふぱふ娘』が言っていた、女の子にもてる御呪い。と言うものが何なのかは分からないが、柔らかくて温かい感触だけ は、サンディーを除いて一緒だ。そこに何かがあるのだろうか、と思う。そうこうしているうちに隣の区画。酒場のカウンターのようだった。
「お兄さん、一杯どうだい?」マスターに勧められて、席に着く。「ジュースお願いします」お酒はどうも苦手だ。すると、隣の席で談笑していた、仮面をつけ た女戦士と、遊び人風の女の子が、僕をチラチラ見ながらにっこりと笑いかけてきた。いつもの事だが、これをサーニャに見られると決まって不機嫌になる。わ からない。
「ねえキミ、ひとり?」仮面の女戦士が訊いてきた。「はい」
「あら可愛いボクちゃん。お姉さんたちと一緒に飲みましょう?」仮面の遊び人風の女性が誘ってきた。「お酒は飲めませんが、それでもよろしいですか?」僕が真顔で返す。ふともも美人
「あははっ、いーよ」「うふふ、可愛い」2人の間に座った。「ジュース、空けちゃって。お姉さんが奢ってあげるわ」女戦士が僕の顔をのぞき込みながら言う。隣では、遊び人風の女性がじっと見つめている。
「君、名前は?」「僕は、フェルナンドと言います」「フェルナンド……フェルくんね。あたいはサイデリア。そっちの子はビビアンって言うのよ」「よろしくね、フェルくん」

ふたりに奢られて飲むジュース。心なしか意識がクラクラするような気がするが、きっと気のせいだろう。そして、こう言う女性と近接で飲んだり、話をするの は初めてだった。ぱふぱふは目隠しされたり、目を塞ぐほど密接されたりする。僕は多分、初めての経験で無意識に目が泳いでいたんだろうか。不意にビビアン さんから突っ込まれた。「ボクちゃん、どこ見てるの~?」するとサイデリアさんも口の端に笑いを浮かべて同調する。「フェルくん、あたいたちの脚、見てた ~。見た感じとは違って、エッチなのね」
ああ確かに、僕は二人の腰掛けている椅子から伸びる脚を見ていたかも知れない。サイデリアさんの組んだ脚、ビビアンさんの短いスカートから伸びる脚。女の人の素足って、殆ど見た事が無いからだ。エマは勿論、セーニャもあまり肌を出さない。「女の人の脚って、綺麗ですね」
素直に、僕はそう言ったんだけど、その言葉が気に障ったんだろうか。二人はじっと僕を見つめて動かない。その時だった。「フェルナンドさま! ここにいたんですか!」 セーニャの怒気籠もった声に、救われた。↙

王者ハンフリー、虚栄の果てに見た真実

ハンフリー武闘の町って、女の色香ムンムンの色町じゃないか! という見方はあくまでも鷹岑昊の偏見で、ストーリー上、必然的な仮面武闘会にエントリーすれば、男臭いイベントが続くようですね。
王者ハンフリー。孤児院を運営する教会神父であり、子供たちからも町の人々からも慕われる町の英雄。しかし、どこか威厳というものが少ない感じがする。こ の手合いって、大概裏がありそうな気がしたが、実際に訪れてみると確かにきな臭い。仮面武闘大会にエントリーした対戦相手が次々と神隠しに遭うのだとい う。いかにもだが、命が奪われた。と言う話は無い。時代劇でもそうだが、同じ悪人でも、人を殺めて改心した人間は殺されるし、勿論、極悪非道の人間は生き ちゃいない。逆に、人を殺めずに改心した悪人は、ハッピーエンドになる。因果応報、勧善懲悪という世界だが、このDQⅪもまた、そう言った意味でベタベタ の勧善懲悪なのかもしれない。

美人武道家、カミュを翻弄し、フェルナンドに目を奪われる

美人武道家↙ あのカミュが敗けた。恐ろしく腕……というか脚が立つ女武道家だという。「あの女、半端ねぇわ。なめてかかると痛い目じゃ済まねぇぜ」カミュがここまで落 胆するのは初めてだ。「スキだらけよ、坊や。って、ちっくしょう!」まあ、僕も人のことは言えないが、カミュもある程度は独学独歩でスキルを身につけてき たんだろう。彼を敗かした女武道家は武術の筋を学んだ本格的な武術家なのかも知れない。「わかった。もし決勝戦で当たったら、カミュの仇取るから」そう真 顔で言ったんだろう。カミュは苦笑いして返した。「ああ、サンキュ。殺さない程度に頼むわ」勝てる訳がないとでも思っていたんだろうか。わからない。

ビビアン・サイデリアそして、仮面武道大会の勝ち抜き戦が始まった。ダーハルーネで見たミスター・ハンとベロリンマンを抜き、酒場で一緒に飲んだ、あの美人のお姉さん二人も出てきた。
「あら、坊や。やっぱりキミも出ていたのね」ビビアンが獲物を狙うような流し目を僕に向ける。「内心、ただ者じゃないと思っていたんだけど、やっぱりね」 とサイデリア。「女だからって遠慮はナシよ。判っているわね、坊や」「はい。よろしくお願いします」僕が言うと、サイデリアはクスッと笑って呟いた。「礼 儀正しい子。私たちが優勝したら、キミのこと養ってあげるわ」「??」
訳が分からないまま戦闘が始まった。ビビアンの魔法、サイデリアの剣技が炸裂したが、僕にとってはあまりダメージにはならなかった。相方のハンフリーの力 も大きかったが、打ち負かすのはそれ程手間が掛からなかった。「大丈夫ですか」「あ、ありがとう……優しいのね」「すみません。本気で……」「もう、だか ら良いの!これは真剣勝負なんだから」一瞬、僕のことを交互に抱きしめようとした二人だったが、観客席の一部から漂う凄まじい殺気にさしもの二人も思わず 身動いてしまったようだった。謎の美人武道家の姫

そしていよいよ決勝戦。相手は……カミュを負かした謎の女武道家。そしてその従者である小柄の老人。コロシアムの真ん中で対面した時、彼女は僕の顔をじっと睨みつけるようにしてから言った。「あなた……」「はい」「ううん……何でもないわ」
何か思いを致すものがあったのだろうが、彼女は気を呑み込み、対峙した。「油断していると、一瞬で昇天するわよ」スレンダーだが、綺麗な筋肉質の身体だなって思った。細く長い脚に武道家仕立てのロングブーツ。非常に身の熟しが軽いと、見ただけで判った。

ゴングが鳴り、闘いに突入した。さすがである。段違いの身の熟し、足技、跳躍。彼女が女の人だからか、それとも美人だからなのだろうか。闘っている最中だ というのに、すごく綺麗に見えた。「それで本気!?」 甲高い怒声に、僕は我に返った。そうだ、ここで敗ける訳にはいかない。ハンフリーと息を合わせて彼 女の体力を削り、地面に沈めた。ロウと名乗る老人も沈黙させた。
結果は優勝だったが、なんか釈然としなかった。「ハンフリーに、気をつけなさい」美人武道家の去り際のひと言が、胸に強く引っかかっていたからだ。↙

ロウ(瓏)公、武道姫の身を案じ フェルナンド、アラクラトロを伐ち、瓏公ハンフリーに正道を諭す

ロウ決勝戦で敗れたロウがフェルナンドの元を訪れる。表彰式前夜に、あの武闘姫が忽然と姿を消したのだという。そればかりではなく、やはりこの闘いで対戦した相手が次々と神隠しに遭うという。不気味な話だったが、共に捜してくれないかという。
まあ、犯人は大体判っているんですが(イベント等を見れば一目瞭然)、それでも信じたいという気持ちの我らがフェルナンド。孤児院の地下から通じる巨大洞窟を進む一行。蜘蛛の巣の演出が実に巧妙。

アラクラトロ表層階とは違って随分とまた暗湿とした洞窟なんだろう。ベロニカは露骨に嫌そうに顔をしかめているし、セーニャも無理して表情を抑えている。シルビアさんも芸風上得意な世界じゃないみたいだ。
「やっと敵の本拠地ね」長かったとばかりに闘気を燃やすベロニカ。円扉を転がして中に進むと、驚いた。天井一面に、蜘蛛の巣に絡め取られ埋まっている無数の人々。皆、闘技大会で行方不明になった人たちばかりだ。そして、もっと驚いたのは、蜘蛛のモンスターに跪く、男。
そう、ハンフリーだった。何故だろう。町の英雄が、何故このようなことを。

ハンフリーは武闘大会と同じくドーピングをしようとして妙薬を仰いだが、直後に倒れ戦闘不能になってしまった。蜘蛛の魔物アラクラトロに「所詮は人間よ」 と吐き捨てられた彼の心情は推し量るべくもない。だが、僕はハンフリーの罪を問う前に、元凶のこの魔物を伐った。武闘姫も協力してくれた。「なかなかやる わね。さすがだわ!」「ありがとう」
大蜘蛛は雷撃と武闘姫のしなやかな足技の元に堙滅してしまった。
ハンフリー
ハンフリーは一命を取り留めたが、その罪は大きかったようだ。「ハンフリーさん……」僕はそれまでの彼のイメージが強くて、それを信じたい気持ちの方が大 きかった。武闘姫は「気をつけなさい」と念を押していったが、どうも根っからの悪人のようには思えなかったんだ。証拠は彼を慕う子供たちだ。純粋な子供た ちならば判る。僕は彼の良心を、子供たちの心を信じる方に懸けた。
ロウは事情を聞くと「それがそなたの心の弱さ故」と指摘した。「彼を裁くのは我々ではない、グロッタの町衆じゃろうて」その通りだった。

ハンフリー、虚飾を解脱し聖道に進み ロウ・武闘姫、賞品を掠めて西に趨る

シルビアのどアップ表層に帰ると、行方不明だった皆が無事に帰還したことを確かめ安堵した僕は、途端に眠気に襲われて、泥のように眠った。
そして次の朝。悪夢に魘されるかのように忽然と瞼が開いた瞬間。「フェルナンドちゅわ~ん♥」とシルビアさんのドアップが。ホント、これ毎朝あると思うと心臓に悪い。いや、今朝が初めてなんだけど。
僕の優勝を祝い、テンションが高かったのかもしれないけど、本筋は賞品にされた「七色の枝」だ。僕自身、そのために闘ったんだ。
ハンフリーさんのこともあるから表彰式には正直足が重かったんだけど、みんなに勧められて行くことにした。そう言うのに出るのも、町のため、ハンフリーのためだと言われた。
真の英雄
表彰式、ハンフリーは決定戦を行おうと提案。しかし、今の彼にドーピングはない。寧ろ手負いの獣だ。それでも、ハンフリーは僕に決戦を挑むことを枉げなかった。それならばと受けて立った。
だけど、打ち合いは5回と続かなかった。僕の一撃を背中に受けた彼は脆くも崩れ、決着が付いた。あまりの呆気なさに、会場はしんと静まりかえったのを、僕は強く印象に残った。
そこで、ハンフリーは今までの行いと自らの真の実力をカミングアウトし、町衆の裁きを待ったのだ。
だが、町衆の反応は意外だった。誰もが彼を咎め立て、非難するどころか、逆に賞賛・賛辞の言葉ばかりで、拍手喝采が鳴り止まなかったのだ。
「子供たちは、嘘をつかない。なるほど、な」カミュがあの後、ぽそっと僕に呟いた。
ハンフリーは言った。「私は闘士を引退する。これからは、私なりにこの子供たちを守っていきたい」 人には人に合う生き方がある。ハンフリーは、虚飾に満ちた名声と、虚栄からようやく開放され、神父として聖道を歩むことを悟ったのだ。

そうした中。「大変!」セーニャが叫ぶ。「七色の枝、持ち逃げされました」
カミュが何とばかりに身を乗り出す。「誰だ、俺の御株を奪う野郎は!」
「あの二人、だとか」「…………」唖然呆然のカミュ。僕はまた、真顔で考え込んでいた。

それでは、また次回。