ドラゴンクエストⅪ~過ぎ去りし時を求めて~プレイエッセイ⑫

プチャラオ村

メル、巧みに哀願を重ねてシルビアを奔らせ メルトア、壁画世界にて大いにフェルナンドを苦しめる


商魂逞しき観光の町。幸運の 女神の噂に不穏を感じつつも

滄 晶女王・セレンの導きで向かったのは、クレイモラン王国南東の光渦。そこをくぐった先はメダチャット地方と呼ばれるロトゼタシア中西部に位置する地域だっ た。いくらか話は聞いているが、「メダル女学園」なる名門女子校が存在するらしい。小さなメダルもそれなりにあるので、行ってみる価値はありそうだ。
看板を前に、ロウが言った。プチャラオ村「一旦、南のプチャラオ村に寄らんかのう」オーブの探索もあるし、人が往来する町村が優先だ。
プチャラオもまた、倭国とインドシナの情緒を合わせたような風景で、中国の祝祭色・赤が映える。連なり提灯が、この村のお祭り的な反映を物語っている、少 し特異な空気を漂わせている。
「以前にも来たことがあったがのう」ロウが訝しがる。マルティナもその時とは空気の違いを感じていたようだ。

「幸運を呼ぶ壁画」さながら新聞折り込みチラシなどである、怪しい開運グッズ紛いの触れ込み。実際に、壁画の利益で億万長者や商売繁盛、人生好転などと言 う体験者がいると言うのだから、ヤラセとしては大規模というものだ。

メルだからこそ、プワチャット遺跡の前に佇む彼女、「メル」のような不運の少女はより目立つ。シルビア姐さんの優しさ がより一層目立つ。しかし、そこはかとない違和感。やけに彩度の高い少女だ。結果論だが、これはきっと何かがある。そう思ったのも仕方がない。
でもシルビアは少女の両親を探してくれと折れない。仕方がなく町に戻ってみるが、町の人誰も「メル」なんて少女は知らない、見た事が無いというのだからい よいよ怪しくもなる。
さて、再び幸福をもたらす壁画があると言うプワチャット遺跡へ辿り着く一行。噂の壁画は確かにあった。椅子に座り、両手を広げている美女の画。

空腹のベロニカ突然の地鳴りのような音に、カミュがマジ顔で言う。「ベロニカ、腹の虫が啼いてるぜ」子供の姿とはいえ、実年齢は セーニャと同じ妙齢。全く、カミュは空気が読めない。「アンタこそ、壁画の美女に見惚れちゃって!」ああ言えば、である。

そうした中、欲集りな観光客たちが挙って来襲、フェルナンドたちを追い出してしまった。扉が閉まり、開けようとしても固く閉ざされ、この世のものとは思え ないうなり声。余程見惚れているのだろう、と危機感すらない。
メルを見つけられない一行は仕方なく町に戻る。準備中だった宿屋が再開され、メルの行方を知っていると出任せを述べた主人の客引きに引っかかりながら一泊 することになった。

ぱふぱふ娘・プチャラオ篇

ぱふぱふ娘・プチャラオ【小説形式】
チェックインをしたフェルナンド。二階客室廊下を歩いていた時だった。「あらん? あなたなかなかイカスわね。どう?ぱふぱふして行かない?」
この町にも居た。もはや、慣習のようなものなのだろう。「はい」フェルナンドがあっさりと答える。そうした様子にがく然となったのは、マルティナ。彼女が 仲間に加わってからは、まだ一度もぱふぱふ娘との遭遇はなかったはずだ。
「ちょっと、フェルナンド。何そんなにあっさりと……!」マルティナが強く突っかかると、フェルナンドはいつもの真顔でマルティナを見つめて言った。「ぱ ふぱふとは、一つの儀式のようなものですから」「はあぁぁっ!?」顔を真っ赤にして怒りの様相のマルティナ。(ちょっと、どういうことか説明しなさい!) 目でベロニカを問い詰めるマルティナ。(わ、私に訊かないでよ!)セーニャが言う。「ホムラの里で……誰かが止めていて下さっていたならば、フェルナンド さまは……」(そういうことじゃなくて!)
しかし、フェルナンドはぱふぱふ娘の領域に吸い込まれて行く。
エロいマルティナ
(もう、フェルナンドのばか! 私にこんな格好させていて目もくれずに怪しいぱふぱふ娘なんか……。私だって、その気になればいつだってキミに……)
閉ざされた部屋の扉を見ながら、バニー姿のマルティナの妄想は広がる。(ちょっと……恥ずかしいけど――――そう、こんな風に……)
恥ずかしさに瞼を閉じる。無理矢理笑顔になろうとするも、唇が歪む。それでも扇情的な色気を自覚するマルティナ。
「どうしたんですか?」不意なる声に、その妄想は一息に醒める。マルティナがはっと目を瞠ると、きょとんとした真顔のフェルナンドが、じっと見つめてい た。途端に羞恥心が膨張し、思わずフェルナンドの胸を突き放してしまった。
どうやら、その行為後、フェルナンドは少しだけ見栄え所作が良くなったという。

壁画世界に梃摺るフェルナン ド。再戦にて妖魔メルトアに大いに苦戦する

壁画世界幸福の壁画美人が観光客失踪事件の枢要である事を気づくベロニカ・セーニャの姉妹。いざ、元凶を断ちに壁画世界 へ。と、飛び込むものの、謎の茨がフェルナンドたちの行く手を遮る。そして真犯人はやはりアイツだった。と、知った瞬間に奴は逃亡。背後からは茨がうねう ねと襲いかかってくる。三十六計逃げるにしかず。カミュが咄嗟に眼前の白い光に飛び込むと、そこはあの美人壁画の部屋。壁画の一部にある割れ目がそこだっ たのである。
今度こそ、奴を捕らえて行方不明になった人々を取り戻さねばならない。と意気込むフェルナンドたち。

闇に誘うメル城下に駆け戻ると、いた。人間は塗料だと豪語する騒動の張本人・メル。その幼い容姿にフェルナンドは何度も怯んだ が、それは見た目だけだ。中身は悪に魅入られた妖魔。「ここで合ったが100年目。素直にお縄頂戴!」と誰が言ったか言わないか、悪い子にはお仕置きを、 とシルビア姐さんも言うようにがく然とするメルを追い詰める。少しくらい姿を変えろよお前も。とは突っ込んではならない。
「チッ、もう少しだったのに……!」壁画世界で待っててやる。止めたければ来るが良い。流石に現実世界では力が発揮出来ないのか、メルは根城である壁画世 界での決戦を押し付けて去った。二度目は逃がさない。とばかりに、フェルナンドたちはもう何度目か忘れたほど、プチャラオの町を東奔西走した。もう勘弁し て欲しいところだ。

メルトア、心の鍵を開放する能力で フェルナンドを魅了させ、マルティナたちを誤擲し、大いに苦戦する

メルトア壁画世界最終決戦。壁画美人の妖魔化・メルトアである。しかし、このメルトアは実に特殊で、「心の鍵」の施錠・解 錠という能力を有する。施錠をすると途端にやる気を無くし、解錠するとメルトアに魅了されて仲間たちを攻撃してしまうのだ。
我らがフェルナンド。エマのお守りも虚しくして何度もメルトアのこの特殊攻撃に嵌まる。その都度、傍で戦っているマルティナやベロニカたちに刃や拳を向け てくる。「ちょっと! 私のことわかんないって言うの!?」フェルナンドに叩かれたベロニカが激昂。「くっ……フェルナンド、正気に戻って――――!」耐 えうるマルティナ。フェルナンドもまだそう言う忌みでは精神的に未熟な部分があるのかも知れない。解錠状態だと、メルトアが言語に絶する程の美しい女性に 見えた。その言葉には抗えないほどの魅惑の力がある。と後に語っている。

しかし、このメルトア戦でこの旅初めて戦闘不能に陥った。フェルナンドとセーニャである。ザオラルの呪文が初めて唱えられた。予想外。いや、予想通りの苦 戦の果てにメルトアを鎮める。メルトアをこのように妖魔化させた黒幕の存在を仄めかしながら、メルトアは消滅。現実世界に戻った時、あの壁画美人の画は消 滅してなくなっていたのである。そして、苦戦した一行に、「魔法の鍵」という何よりも大きな収穫を齎した。

フェルナンド、お願い……

観光資源が消失して意気消沈かと思われていたプチャラオの町だったが、商魂というものは素晴らしいもので、幸福の壁画美人の逆転の発想から、呪われた壁画 という、ホラースポットとしての観光資源化に切り替えていた。神妙のマルティナ
以前と変わらぬプチャラオのアトモスフィアを見ながら、フェルナンドは安堵の胸を撫で下ろす。そしてプチャラオ出立の前夜。不意に、マルティナが思い詰め たような表情でフェルナンドに対する。
「キミにとって、私たちは――――」「大切な、仲間です」「……なら、私は……」「マルティナさん?」マルティナの胸中には、メルトア戦での特殊攻撃で、 術とはいえ自分に攻撃をしてきたフェルナンドの衷心を訊きたかったのかも知れない。
「私は……! ずっとキミを見ている。あの時……果たせなかった事を、今果している。……つもりだから――――」
そう言って、マルティナは宿に戻っていった。プチャラオの連なり提灯は煌煌と夜景を彩り、美人武道家の思いを深慮し、ひとり佇む勇者の姿を映していた。
モテモテの勇者◀モテモテのフェルナンド

旅先で数多くの女性たちの心を無意識なりに捉えて行く勇者フェルナンド。その自覚のなさが罪と言えば罪なのだが、プチャラオでもその天然ジゴロっぷりは遺憾なく発揮されている。
そういう部分も、双子姉妹やマルティナらからやきもきされる原因の一つである。
それでは、また次回。