大きすぎた世界設定、チートな敵にチープな戦術。だが、それが魅力の不思議な作品

ワールドエンドクルセイダーズ 第1巻◀ワールドエンドクルセイダーズ 第1巻
評価★★★

週刊少年マガジン本誌2017年第28号から連載が始まった、デス・ゲーム系ファンタジー。同32号の第5話までを収録。
まずは作画・不二涼介氏の筆致は非常に秀麗。単行本第1巻のカバー表紙よりも描き込みはシャープで線も良い。
第1話のモブキャラを初めとして女性の描き方に特に惹かれ、メインヒロイン本格登場の第5話以降も、不二氏の描くヒロインの活躍を期待するという楽しみ方 がある。
さて、肝心のストーリー構成はマガジン本誌で依然連載されていたデス・ゲームの二番煎じだという酷評があるが、それよりも第1話で展開した世界観・各ス トーリー設定が例外なく非常に膨大で、実際のキャラクタの言行がついていっていないように見受けられる。自らの世界設定に負けるストーリーという失敗作の 轍を踏んでいる残念な例だ。
「超巨大な未確認生物によって一大陸が壊滅した」「チート級の強さ」「IQ230」など、超宇宙的な設定をぶち上げてしまった割には、主人公達を始めとす る周辺主要キャラクタがどうも暢気に見える。
各チャプタータイトルからも見て取れるように、雰囲気は非常にファンキーな感じで敵キャラが動き、主人公も対峙してゆくのだが、実際のバトルシーンはチー ト級と言うよりもチープ級というダジャレすら出てくるほど。この第1巻で主人公と戦うことになる敵との掛け合いで、醸成されるべき緊迫感がどうも上滑りし てしまい、大陸を一瞬で壊滅させた程の敵と同等同位とは思えないのである。
しかし、そんな膨大で到底捌ききれないであろう世界設定も、突っ込みや矛盾を呑み込んで見てみればそれが逆に面白いと思わせる要素が多分にあると言うのも 事実で、最初に述べたように、不二氏の筆致による美少女・美女の活躍が支えになっていると言って過言ではない。
メインヒロインは第1話で1コマの登場。第5話で本格登場となるのだが、構成・設定は別にして、ヒロイン勢の活躍を視点の中心に置き、ついでにストーリー を読み進める、という事で見れば、この作品もなかなか乙である。

判っていた巨大すぎるセッティングキャパシティ、開き直って喜劇と成すか

ワークルは大方の評判通り、単行本の売れ行きも芳しくないと言う。確かに第1話であまりにも大風呂敷というか、超宇宙学的な設定を詰め込みすぎて、物語そ のものが第1話にして茫漠な世界にぽつんと残されたのである。それこそ、神の五指・ナジャが超巨大な未確認生物で崩壊・更地にさせてしまった豪州大陸のア リススプリングスの中心地に立っているようなもので、四方皆、無の地平線。そんな中で異様にファンキーな雰囲気を醸成するサイコデスゲームが舞台上で繰り 広げられているという、実にシュールな映像。
世界崩壊ものには良くある話だが、舞台はどうしても東京近郊。思いついたように全人口60億から十数億人死滅しましたと語ったとしても、それが描かれる訳でもないし、登場人物達も思ったほど危機的意識を抱いていないとくるのだから設定負けも甚だしい。
この漫画の魅力は何か。私のこのブログでも何回かワークルについて語ったことがあったかとは思うのだが、やはり美少女・美女キャラに他ならない。第1巻では五指の一つ、イモリと戦うことがメインだが、何が悲しゅうてハゲギャハハを毎回見なければならないのか。ラララ・リラか、ナジャを出せ。と言うことなの である。

まあ、それでも物語だから仕方がない。あまりにも巨大な設定が重く頭上にのしかかってはいる漫画だが、上滑りなファンキーさがよく見てみると何か愛おしく さえ感じる。第1巻はそんないとおしささえ感じさせる前座的な立位置なのかも知れないが、リラの登場が遅くて引きにしては引きすぎな面がある。確かに、彼 女が出てくるまではメインヒロイン的キャラが不在なのであるから、なかなか厳しいと言えば厳しい。

ワークルは設定重視で読んじゃいけない。むしろ視点の転換で喜劇であるという感じで読み進めれば良い。なかなか、じわりとくる面白さが秘められている。