瀬尾氏の本領、成年誌未満青年誌以上の実力を実証させた、公式同人系誌

風夏・ヤっちゃう!? ヒロイン妄想初体験

▼風夏 ヤっちゃう!? ヒロイン妄想初体験

評価★★★★★

アニメ風夏のBD/DVDの初回特典として封入されていたとされる描き下ろし主人公・榛名優と各ヒロイン格との妄想初体験集を単行本化したもので、ハードカバー様式・描き下ろし以外はオールカラーとなっているのが特徴。
BD/DVDの初回限定盤を購入していないので、単純比較はできないのだが、未購入者にとっては「御蔵入り」となるやと思われていただけに、単行本化は純粋に歓迎するべきものであると同時に、特典漫画目当てでディスクを購入したり、転売に手を出した人々にとっては不意打ちを食らったようなものだろう。

内容は瀬尾氏が持つ本来の資質を存分に発揮したもので、風夏の主人公・榛名優と、初期メインヒロイン・秋月風夏とラスティングヒロインである碧井風夏とのエッチシーン。氷無小雪や、石見沙羅など風夏に登場した准ヒロイン格との仮想読切りエッチシーンが描かれ、瀬尾氏の秀麗な筆致によるお色気シーン満載は、連載本編のストーリー構成が終始粗笨なものだっただけに、この作品集はそうした読者の溜飲を一つ下げる意味としてはある程度効果的だったと思われる。
瀬尾氏の筆致については、言う迄もなく、青年誌以上での活躍が大いに期待されるほど秀逸。両風夏や小雪との純愛から、変態プレイ、いわゆる3P(誰とかは本書を読まれたし)もあったりと、有害指定もかくやとばかりの挑戦なのだが、一つだけ確信できるのは、この手の構成では、いわゆるエロ漫画専門の成年誌では最下層的位置に置かれ、いわゆる青年誌でも週刊少年マガジンほどのインパクトを与えるものとしてはなかなかなりにくい気がする。
皮肉にもこの単行本発刊で、瀬尾氏は鶏口牛後の作品・作家であると手ずから認めたようなものである。ただ、濃厚な恋愛読切集としての評価であり、星は5である。

秋月風夏を死なせてしまったことを痛悔していることが能く伝わる内容

風夏の連載は前作を超えることはついに無かった。そもそも瀬尾氏にストーリー構成技術を求めることは政治家に嘘をつくな、と言うようなものなので私、鷹岑昊も何度もそれは詮ないものであると言い続けてきた。
風夏本編の単行本はついに買うことはなかったが、テレビアニメ化され、そのBD/DVDの初回生産分に封入されていたとされる君のいる町の「妄想200話」をひとまとめにした単行本が出ると見知って、これは買ってみる価値はあるかなと思った次第だ。石の上にも三年ならぬ、瀬尾作品を読むも三年。といったところなのかも知れない。
而して開くと意外と豪華で驚く。ハードカバー様式でほぼ半分がカラー。価格は約1000円と高いがBD/DVDや、風夏本編の単行本を揃えることを考えれば安いものであろう。

そして肝心の内容は、いやはや瀬尾氏らしい彼是と成年漫画ばりの好意をヒロインにさせたり格好させたりと、連載本編では出来なかった事が緊緊と伝わる。
そんな中、鷹岑が感じたのは、やはり瀬尾公治氏は秋月風夏を死亡退場させてしまった事への強い後悔があると、この本を読了してみて感じたのである。後半、おそらく描き下ろし部分だとは思うのだが、碧井風夏とのシーンの後で風夏本編を補完する意味合いを持つ場面を描いているのだが、秋月風夏が榛名優たちの前に立ちフェイドアウトして行く。
涼風時代のエッセンスを承継するメインヒロイン・秋月風夏を『敢えて死亡退場させることによって最高の物語になってゆく』と豪語していた衝撃の本連載当時と比較して、今度は世界だ、という言葉で締めくくった実に寥寥とした終結。
そのような途上の夢で終えた作者・瀬尾氏が訴えたかった秋月風夏の死亡退場への痛悔が、アニメ化に於ける改変。そして本来、BD/DVD未購入者からすれば御蔵入りとなるはずだった限定描き下ろしの単行本化に繋がったと見ても決して過言ではあるまい。

秋月風夏篇

大ヒット作『涼風』の結晶とも言える「秋月風夏」が、漫画とはいえ何処の馬の骨とも知らぬチート・榛名優に処女を捧げるという妄想。本編連載では適わなかっただけに、秋月風夏への想いが熱いファンにとっては溜飲を下げる一つの要素にはなった。「もう一回ギュってしてくれたら、許してあげる」というセリフは男心を捉えて放さない。……まあ、鷹岑はもう動じはしないが(笑)

氷無小雪篇

入りは秋月風夏と同じ風呂上がりに遭遇すると言う事だが、幼少期から榛名神人(ニコくん)を思い焦がれてきたという設定の小雪が、激しく迫るというシチュエーション。ベッドの中で神人に懸命に奉仕するシーンが特徴。「今度は私をニコくんの好きにして」がクライマックスの小雪の殺し文句。しかし、最後のマネージャーの「楽しい夢でも見ているのかしらね」が切なさすら感じさせる。

石見沙羅篇

交際して1年強、いまだ経験無くお互いに敬語。距離感に不満と寂しさが溢れる沙羅。ここで男らしさを見せようと榛名神人は強引に更にキスをしてソファに押し倒す。明るい部屋の元で沙羅を愛撫して止まない神人。その様子を偶然ドアの隙間から覗いてしまった沙羅の兄、号泣。キャラ的にも前作の浅倉清美を蹈襲しているため、個人的には好きなキャラであった。

その他にも描かれるヒロイン格のキャラ。ただし何故か、天谷社長がいないのが個人的には残念だという話(笑)