週刊少年マガジン2018年第29号 感想と考察

瀬尾皇子(せおのみこ)、急速充電を終えて颯爽と帰還するも、主人公チート・全方位礼賛系統の色彩は不変に承継され
 宵旰の廉士、五姉妹の長所を述懐しつつ語頭語尾に馬鹿を連呼するも、二乃、その横顔に金太郎の面影を憶える


ヒットマン 瀬尾 公治

新連載第1回「剣埼龍之介」 / 評価★★★(御祝儀相場) / アンケート投票対象(新連載御祝儀相場)

風夏の不完全燃焼後、短期間による急速充電を経て、瀬尾王子の新しいテーマはやはり『お身内・お友達』ネタ。今更、発行部数も斜陽一途の週刊少年マガジン編集部の内幕をテーマにしたフィクションものを持ってきたところで、どうせいって話。
第1話を読む限り、主人公・剣埼龍之介やヒロインとされる小鳥遊翼。チートなる主人公に、鴨の卵たる小鳥遊が天翔る鳳凰へと成長して行く、剣埼神人サクセスストーリーになる事はもはやパターンである。旧作のキャラのセルフカメオ出演もさることながら、今度は何話で誰が死亡退場するのか、という部分に読者のトトカルチョが始まるだろう。
アンケートや瀬尾氏過去作紹介で「W's」や短編集、「half-and-half」が無かったことにされているのが何故かという疑問。予め言っておくが、週刊少年マガジン本誌以外だからと言う理由は理由にならない。紹介するならちゃんと紹介するべき事だろう。

瀬尾氏、並びに彼を担当する編集者に何度も言おう。そして、出来ないことを承知の上で上疏する。完全無欠の神人主人公は不要。たった一人で良いから、終始主人公を嫌うキャラクタを投じろ。それだけで、話の裾野は広がる。

彼女、お借りします 宮島 礼吏

第47回「元カノと彼女②」 / 評価★★★★ / アンケート投票対象

外面如菩薩内心如夜叉。七海麻美現在の表現に最も適した言葉である。更科瑠夏以上に埃塗れの負けヒロイン、いや、旧負けヒロインたる七海麻美のこうした行動は、殆ど意味を成さない。彼女の挑発に水原千鶴は、「レンタル彼女」のプライドをもって受け流すだろう。
だが、その水原千鶴を気になるからと言って、ルカを放置しようとする和也は無為に自らの株を下げる一方であるのが残念。和也よ、ルカの気持ちを想え。七海は覆水不返の妄執の権化である。怺えよ和也、矜恃を示せ千鶴。

五等分の花嫁 春場介 ねぎ

第42話「七つのさよなら④」 / 評価★★★★★ / アンケート投票対象 / 一番面白かった作品 / 購入動機対象

赤貧廉潔の士・上杉風太郎が見たのは白昼夢か。二乃が零奈か。或いは、小プレアデスの亡くした更なる姉妹の一人だったのか、想像は膨らむ。しかし、風太郎が見たのは、幻影だったのだろう。2000年初頭期に萌え層を涙で濡らしたAIRやKanonを彷彿とさせる、零奈という少女の姿に、風太郎の心の変化はあるか。彼の横顔に、呉下の阿蒙であった風太郎(金太郎)と、にのはやっと確信を持ったのか。「七つのさよなら」というサブチャプターの意味が、ようやく明かされる時が迫ってきた。「……だが馬鹿だ」
宵衣旰食の廉士・風太郎が言う「だが馬鹿だ」が、とても優しく温かな感じが私には聞こえる。

ドメスティックな彼女 流石組

第191話「幸福の分かれ道」 / 評価★★★ / アンケート投票対象

瑠衣追放前夜。いいぞもっとやれ。


今週号で面白かった作品5つ
① 五等分の花嫁
② 男子高校生を養いたいお姉さんの話
③ 彼女、お借りします
④ ドメスティックな彼女
⑤ ヒットマン(新連載御祝儀相場)
一番面白かった作品
五等分の花嫁
読んでない作品
ランウェイで笑った
購入動機対象作品
五等分の花嫁
新連載『ヒットマン』についてお聞きします。あなたの感想に最も近いものを一つ選んで下さい
普通
2話目以降、この漫画のどの部分に期待しますか?
その他
漫画雑誌編集部のことをどれくらい知っていますか?
あまり知らない
瀬尾氏の過去作で読んだことのある作品を以下の中から選んで下さい
風夏/君のいる町/涼風/CROSS OVER(何故W'sが省かれている?)
グラビアをまた見たいか
いいえ
29号に全体について満足度
普通
その他の意見・感想があれば
瀬尾公治氏の帰還は、マガジンにとっては喜ばしいことかも知れません。まあ、おそらく瀬尾流のやり方は、チートな主人公。やることなすこと、全て上手くいく、人物相関関係も、奥行きや厚みがなく、薄っぺらいものになるとは思いますが、それでも瀬尾氏の作品が、今のマガジンに必要であると言うのが、今の週刊少年マガジン全体の現状である事が、素人目から見てもわかります。
漫画の編集部の中の話など、我々が知ったところで、面白い作品にはお金を払い、つまらない作品にはお金を払いたくない。それだけのことです。
チートな主人公、そしてそのチートな主人公にきっと史上最高の漫画家に育て上げられるであろうヒロイン。もうスタート時点から、結末が大体判るので、願わくば、あまり奇を衒ったような展開は、今回は控えてみた方が良いかもしれません。