週刊少年マガジン2018年31号 感想・考察

編集部、廣瀬三宮両氏の青春相関図の志半ばの倒仆に慊らず、異能サスペンス作品に可能性を賭け
 徒然・星野と、恋愛経路線作品の淘汰を進め、方針混迷の体を露す


夜になると僕は 原作:益子悠 作画:一 ×(にのまえかける)

評価★★★

新連載巻頭カラー。ひとつ思うことがあるのだが、こう言う系統の設定はヤングマガジンなどの青年誌系に相当すると思われるのだが、曲がり形にも少年誌というジャンルで連載の太鼓判を押した編集長の意図は一体何なんだろうかと、凡夫の一読者たる私には全く理解できない。
作画の「一×」氏。少し撚ったペンネームにしたようだが、以前どこかで見かけたような記憶がある筆致。思い出せないが。
設定は愛していた姉を殺害した複数の容疑者に対する復讐というのを標榜に掲げているが、これを新連載に挙げるくらいならば、廣瀬俊・三宮宏太両氏の「青春相関図」をもっと幅を拡げて連載継続させていた方が良かったのではないだろうかという、個人的な意見。

ワールドエンドクルセイダーズ、青春相関図と、短命に終わってしまった過去近似作群の末路を鑑みれば、アンケートにあった単行本を買いますか? という問いに、速攻で「はい」と答えることは非常に困難である。
何度も言うが、面白ければ、自然とコミックスは買う。つまらなければ、買わない。

ヒットマン 瀬尾公治

評価★★

第3話「指導社員」
どれだけ、漫画編集者を以て色付けして格好いい風体に描こうとしているのかは知らないが、瀬尾氏が剣埼神人無双を狙っているというのは火を見るよりも明らかで、彼の言う「リアリティ」というのは、〝一般論〟としてのリアリティではなく、〝瀬尾氏が描く〟リアリティと言うことを念頭にしておく必要がある。現実として、殺人・薬物編集者という事もある以上、それも忠実に表現して行く事は至上命題と言えるだろう。剣埼神人スゲえスゲえ、小鳥遊日本一!剣埼さんのお陰です(惚)では、もう終わり。

ドメスティックな彼女 流石組

評価★★★ / アンケート投票対象

第193話「恋のレッスン」
投票する作品がなくて消去法でドメカノに投票しているのだが、個人的には伊藤誠●世たるナツオには、陽菜との最終結実を求めているが故の投票。ちなみに、雅って誰? あんまよく読んでいないから判らんのです(�汗)

五等分の花嫁 春場介 ねぎ金太郎(変装)

評価★★★★★ / アンケート投票 / 一番面白かった作品 / 購入動機

二乃は風太郎が懸念しているよりも早く、「金太郎」が風太郎である事を勘付いていた。二乃はきっと認めたくはないのだろうが、風太郎である金太郎に執心であったと言うことは、二乃自身、風太郎への想いに気づかされ、自分自身で戸惑ってしまっている、という事なのだろう。
二乃が、風太郎が持っていた金髪時代の自分の写真「金太郎」に心から惹かれていた、という事は紛れもない事実であって、金太郎の正体が、彼女の最も忌み嫌う上杉風太郎であったことへの衝撃は、風太郎自身がソフトランディングさせてくれていたと言える。
風太郎自身が嘘をついていたわけではなく、二乃の勝手な思い込みから始まった騒動。しかも、それは図らずも、二乃自身が認めたくなかった、風太郎への思慕を露呈させてしまう結果に。

赤貧廉潔の士・上杉風太郎は、不変の立位置で姉妹を俯瞰している。二乃に五連星は常に共にあるべきであると諭す。意固地になっている二乃、ホテルは飛び出すが、この五連星の昇華のために、下心なく宵旰の過酷な使役を全うしようとする姿くらいは映ったはずである。

彼女が決意した金太郎への恋慕への別れは、風太郎への想いの覚醒でもある。二乃はどう思っているのかは知らないが,風太郎には疚しい野心はない。微動だにしない風太郎を廻る五連星。サブチャプターである「七つのさよなら」の意味が、明かされる日も近い。

風太郎が、二乃が思い込んでいる幼い頃の自分・「金太郎」に扮した事については、NHK・BSの「英雄たちの選択」よろしく、風太郎の選択に迫る緊迫した情勢だった。私がゲストだったとしたら、選択肢はA。二乃自身が気づき、自らの気持ちに気づく道を、私は選ぶ。強引にお前が思っていたキンタローは、実は俺だった、と告白しても、二乃の心を却って傷つけることも考えれば、Aだろう。

二乃はここで潜在能力を発揮するのか。待ち遠しさは続く。

彼女、お借りします 宮島 礼吏

評価★★★★★ / アンケート投票対象

第49回「告白と彼女」
千鶴の絶叫、どう捉えただろうか。向けている先は、麻美だが、千鶴が叫んでいる言葉は全て、自分自身へのもどかしさに対する告白。「私と和くんの問題でしょう」と言って去って行った麻美の姿に、既に敗者以上の惨めな姿が映し出されて悲愴感が半端ない。宮島氏にはもう、これ以上七海麻美を出すのはやめておいて欲しい、とまで思わせる展開だ。
本当の心通じ合える恋人として、千鶴が良いと叫んだ和也。次号より新展開だが、更科瑠夏なども含めて精算しなければならない問題は数多い。

ちなみに、私鷹岑昊が持論として言うラブコメの結末「不結実の終極」は、主人公が敢えて誰とも結ばれないで、ヒロイン達の想いを受け続けてゆく、というものだが、
カノ借りの場合は、それでは不完全燃焼のように思える。
正式に、本当の彼女として千鶴が良いと激白した和也。さあ、ボールは渡された。「更科瑠夏」を盾に断るなんて、チープなことはよもやするまい。楽しみである。


面白かった作品5作品
① 徒然チルドレン
② ドメスティックな彼女
③ 彼女、お借りします
④ 男子高校生を養いたいお姉さんの話
⑤ 五等分の花嫁
一番面白かった作品
五等分の花嫁
読んでない作品
ランウェイで笑って
購入動機対象作品
五等分の花嫁
新連載「夜になると僕は」について。感想に最も近いものを一つ
普通
二話目以降、この漫画のどの部分に期待するか
美麗な絵
ヒロインの登場
主人公と加害者の心理戦
サスペンス作品についてお聞きします
特に意識したことがない
「夜になると僕は」の単行本に関してお聞きします
単行本は買わない
グラビアについて。また見たいか
いいえ
満足度
普通
新連載ですが、ヤングマガジン辺りで似たような作品を読んだような気がするのですが、間違いだったらごめんなさい。
作画の過多は筆致として以前どこかで見かけたような気がするのですが、ペンネームなどは変えられているのでしょうか。
サスペンスものはやはり展開次第、人物相関関係が一番基本原則に当たると思います。
世界設定やタイプは違いますが、近頃連載を終えた、廣瀬・三宮氏の青春相関図よりも、深く切り込んだ徹底したダーク展開が求められているような気が致します。