メインヒロイン・海藤不二恵が満更でもない、変則型恋愛サスペンスの第2巻

ストーカー行為がバレて人生終了男 第2巻

▼ストーカー行為がバレて人生終了男 第2巻

門馬 司/芥瀬良 せら共著 評価★★★★

タイトルこそそのままだが、内実は主人公・影沼秀夫と、メインヒロインで超高飛車の弩S級美女・海藤不二恵のサスペンス恋愛物語として機能している。
今巻では、その海藤不二恵とのぎりぎりのシーンが描かれ、思わず何度見もしてしまうくらい、筆致と重なって良い。
前巻のレビューでも語ったように、この作品は影沼・海藤以外のサブキャラは一癖も二癖もある性格をしていて、影沼が幾度も危機に直面している部分が読み応えのある部分であると言えるだろう。
海藤はビッチであるという評価や、サブキャラで影沼に気があるような素振りを見せる渚が良い、という分類も出来ているだろうが、この物語の性質上、私は後者には魅力を感じず、海藤の圧倒的な女王さま系ヒロインの存在感に惹かれて止まない。
よくこう言う作品にある主人公は、ヒロインに手を出さないと言うのが多いのだが、影沼は隙あらば海藤と肉体関係を結ぼうと必死になっている。
そういう部分も現実的で実に素直な作品であると言う風に私は感じる。
この作品に出てくる、影沼以外の男は、皆どこか陰湿さを持っています。怖いですね。


メインヒロイン・海藤不二恵と専門職ストーカーの恐怖

影沼の密かな楽しみ(美人観察マップ作り)を、ストーキング行為として弱みとして握り、彼を実質手玉に取った海藤不二恵。読んでいてあまり良い気分のしない人もいるだろうが、読み進めて行くと、海藤は常に孤独で猜疑心が強く、寂しがり屋で、思いも寄らなかった従僕として影沼秀夫が目の前に現れ、容姿・性格ともに満更でもない事を示していく様子があざとくもあり、また魅力的でもある。
強制的に飲みに呼びつけるLINEや、ストーカーの真犯人が誰か判らず恐怖におののくも、頼りにしているのは影沼秀夫。弱みを握っているとは言え、悪い人間では無いと言うことくらいは海藤も知っている。酔えば開放的に(悪く言えば淫乱)になる海藤を、影沼はよくフォローしている。実際に『酔った勢いで……」という事もアリというところが、この手の他作の主人公達よりも、より現実的ではっきりとしている。

「ストーカー行為がバレて、人生終了男」というタイトルは、主人公影沼秀夫ではなく、海藤不二恵に対するストーキング行為を繰り返す専門職・公務員と言った、誰もがうらやむ安定性の職業従事者のことを指しているのではないだろうかと、見方を変える契機にも繋がった。
そう言う意味では海藤不二恵は魔性の女と言えるのだろうか。元・地下アイドルの一員だった海藤のモデルが、現実・同じような立位置で某殺人未遂事件の一連の被害・加害両者のように思えてならなくもない。

まあ、タイトルやストーリーの展開は限られているのであと数巻で終わりそうな雰囲気なのだが、影沼と海藤は、主従の関係でも良いから、大団円を迎えて欲しいと思っています。