彼女、お借りします 人物考察⑤

桜沢 墨

桜沢墨

『ドジッ娘』に『コミュ障』の童顔大学1年生、畑違いの風俗業に身を委ね、千鶴の推挙で木ノ下和也に託す

水原千鶴から対客コミュニケーション練習役として〝常連〟木ノ下和也を推挙され、和也の元に赴く童顔美少女女子大生
――――常に不安と緊張を懐くも和也の赤誠に触れ、矜恃を持つ




コミュ障に、天然のドジッ娘。絵に描いたようなポンコツ娘がレンタル彼女という風俗業に足を入れる不思議

七海麻美、更科瑠夏と負けヒロインを投入し続ける宮島氏。単行本第6巻を彩るキャラとして「桜沢墨」を投入したのは良いのだが、「ドジッ子」だけならばまだしも、「コミュニケーション障害」という風俗接客業で最重要視される要素に欠けている桜沢墨が、よく『Diamond』に採用されたものだと、まずは不思議で仕様がない。
私は風俗という稼業も店舗も全く行ったことがないのでよく分からないのだが、本編で描かれる桜沢墨のような状態の〝商品〟が実際に陳列される事ってあるのだろうかという素朴な疑問がある。
ビジュアルが可愛いという理由だけでレンタル彼女の連名陣に加えることは有りなのかなとは思うのだが、対人恐怖症と言っても過言ではないほどの男性恐怖症。

単に設定されるだけではなく、何故そう言う性格になったのか、和也ならば突っ込んでいきそうなのだが、和也は水原千鶴の頼みという使命感を以て接する。墨も千鶴の紹介する和也ならばこそ安心できたのかも知れない。
ヘタレ・クズの烙印を方々から受け続けて止まない木ノ下和也だが、きちんと千鶴の信頼に応える対応をして行く(時に邪な妄想も加わるが健康な男子なら胸裡に秘めて然る可きだろう)。
レンタル彼女とはどういったものなのか、墨は逆に和也からレクチャーされているように思える。確かに、ドジッ娘という属性は蛇足にしろ、コミュ障というのは一笑に付す問題ではなくて、墨として、職業選択で全くのお門違いな筈のレンタル彼女という風俗に就いた理由というのは個人的には強く興味がある。桜沢墨

読者も含めて男というのは実に単純無比で墨のようなキャラクタが実際に傍にいたらコロッと参ってしまうだろう(私からすれば、はや娘のような存在だからコロッと迄はいかないだろうが)。
内向的・人見知り・口下手。
それらが全て桜沢墨としての男殺しの武器だとしたらならば脱帽・切腹ものである。墨にその気は全く無かったとして、Diamondのスカウトが、墨の将来性を見抜いてレンタル彼女として連名に加えられる実力者ならば、いつかマンガボックスで描かれていた風俗業界主体の漫画に引けを取らない舞台が描けられるであろう。

男好みの容姿と仕草と天然性

最大の負けヒロインである七海麻美をして「男が好きそうなタイプ」と言わしめた墨だが、果たして一概にそう言い切れるキャラなのかという話。
確かに、この作品に於けるヒロイン級の中では一番大人しく清純だが、他作品に言わしめればこう言うキャラクタこそが所謂黒幕系ビッチとされる場合が多い。まあ、この「彼女、お借りします」での彼女の立場では裏がない様相だが、設定そのものからすれば「レンタル彼女」としての資質は正直言ってないと言える。仮にあったとしても、悪い男に引っかかれば抗えないタイプである。

そんな彼女がどう言う経緯で「Diamond」に名を連ねて水原千鶴の推挙を受けて和也の薫陶を受けるようになったのかは詳らかではないが、最新第59話の時点において、墨自身が和也に恋心を懐いている、という風には捉えていない。一応ラブコメという形を取っているのでこの一度のレクチャーデートで和也に恋愛感情を持つという可能性も否定は出来ないが、それではレンタル彼女というコンセプトに反してしまう。更科瑠夏も然りだが、桜沢墨、そして水原千鶴まで和也に心を奪われているよりも、余程七海麻美の方が「レンタル彼女」としての資質に満ちているだろう。
再登場は勿論願ってやまないキャラクタではあるが、負けヒロインは確実なので、更科瑠夏よりも悲惨な立位置で終わらないように願うばかりである。