週刊少年マガジン2020年第12号 感想・考察記事

四等分、時系列を第1話に戻しつつも全体的に泥濘に着地し終わりを全うせず
 郭公、悪筆なインパクトを見出し、3ヒロイン格出揃いでいよいよ本格的飛躍を期する


四等分の花嫁 (贈)煬威将軍(よういしょうぐん)厲昏戀侯(れいこんれんこう) 春場 ねぎ

第122話「五等分の花嫁」 / 評価💀💀💀💀💀

四葉確定ながら、ハーレムを偽装する結婚式での坂本金八ばりの卒業生への訓示。育成型ラブコメがいつの間にか陳腐以下のハーレムミスリード展開で読者を騙し、搾取していった結末が此である。鬼岩温泉のお祖父ちゃんの死の様子も描かず、中野丸男・上杉勇也などの宥和も描かず、ウェディングドレス五つ子ゲームなどをして123が未だに風太郎に恋い焦がれていると匂わせ、一花・二乃・三玖、そして五月推しを救済したつもりでいるというのであるならば、お門違いも甚だしい。四葉確定となった文化祭最終日の決断以後の構成崩壊。春場が当初から四葉と決めていたというのは、佐倉綾音君が演じるという事だからという専らの噂も満更ではないだろう。
描くべきところはまだまだ多々あったはず。それを何を急いでいるのか、師匠である赤松健氏の「ラブひな」と同じ巻数に並べるために敢えて構成をぶち壊しても終わらせたかったのか。春場の考えが全く理解できないまま、この日を迎えたという印象。個性豊かな多数型ヒロインのラブコメは、誰か一人に特定すれば必ず失敗する。私が提唱する「不結実の終極」がいかに物語を維持し、面白く長くあり続けられるかと言うことを、この作品は改めて示してくれた。
それに対し、中国南朝陳の後主・陳叔宝、並びに隋の二代皇帝楊広に贈られた諡号と同じ「煬」を以て「煬威将軍」と、素晴らしい恋愛ドラマを描いてくれた事に感謝し、「厲昏戀侯」の称号を贈りたいと思います。
アニメ2期は秋だそうですが、春場の新連載と連動しそうで恐いです。次こそは、奇を衒わず、ちゃんと原作を付けてやってください。第二の瀬尾大菩薩2世と言われぬように。

ドメスティックな彼女 充華嬪・後宮尹 流石 景

第262話「結婚の許し」 / 評価

ここまで来れば、主人公達に都合の良いように描くしか道はない。やることなすこと全て成功し、幸福な道を描いてゆく。まさに快刀乱麻を断つが如し。後は、最終回を指折り数えて待つまでの消化試合だ。

それでも歩は寄せてくる 光禄勲・羽林中郎将・仮節 山本 崇一朗

第46話 / 評価★★★★★ / 面白かった作品

もう、お前ら結婚してしまえ!

カッコウの許嫁 使持節・驍騎大将軍・督戀愛中外総諸事・開府儀同三司・六合戀愛節度使 吉河 美希

第4話「絶対に負けないから!!」 / 評価★★★★★ / 面白かった作品 / 一番面白かった作品 / 購入動機対象作品

初期設定3ヒロインの最後・瀬川ひろ本格始動の回。凪を呼び出した手紙は非常な悪筆で、劉宋の武帝に批せられるほど(嘘)
実力テスト1位を遂に手にした凪。それでも学校内での凪の立場は、狷介孤高をもろに示す描写。モブキャラの凪の扱いが粗雑。しかし、文武兼備の凪に対抗する輩はおらず、大きく距離を置くことしか出来ない。瀬川ひろを「アテーナ」に喩えるならまだしも太陽神「ヘリオス」に喩える的外れな瀬川信者も尻目に、屋上に凪を呼び出した瀬川ひろは凪を指差し、「あなたにはっ、絶対に負けないから!!」と報仇雪辱をドヤ顔で宣言する始末。凪の「一位を獲ったら告白」という島すら与えられずに、一方的な宣戦布告。法事で学校を休んだから1位を取れなかったと、苦しい言い訳。不戦敗は不戦敗である。学業以外に関わることまでも凪に勝つことを一方的にまくし立て、立ち去る。唖然とする凪だが「めちゃくちゃカッコいい」などと惚れた方が負け宣言を呟く有様。
一方、エリカにも波瀾が。インスタグラム登校のために撮影したハプニング写真の1枚が流出。校長室に呼び出される。

しかし、ホテル王天野氏に対する忖度か、或いは天野氏側の威圧によって、そのスキャンダルは封殺されそうな気がしないでもない。天野氏側が故意に流したという見方もあるが、学園生活まで、強制的に凪とエリカをくっつけようという狙いがあるのか。校舎ならば、ホテル王天野は人面獣心。凪の妹・幸もタダでさえ激おこなのにそうなればどうなるのか……!!

今のところ、やっぱり幸が可愛いね!


今週号を読んで面白かったものを、5つ選んで下さい。
① 特別読み切り『告白告白告白』
② それでも歩は寄せてくる
③ 彼女、お借りします
④ カッコウの許嫁
⑤ ネクロマンス
前問で選んだ中で一番面白かったものを1つ選んでください。
カッコウの許嫁
読んでいないものを1つ選んでください。
ランウェイで笑って
購入動機対象
カッコウの許嫁
12号全体に関してお聞きします。
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満足
その他の意見・感想
四等分の花嫁、やっと終わりましたか。最後の最後まで、四分五裂のまま、泥濘に着地した心地でした。
春場氏は四葉に決めていたと述懐しているようですが、そうであるならばもう少し構成を丁寧にするべき……いや、こうした複数型ヒロインのラブコメにおいて、誰か一人に特定してしまうと必ず構成破綻するのですから、春場氏はいる意味確信犯だったということですね。騙され、搾取された読者がお気の毒でなりません。
一方、吉河氏の「カッコウ」は順調に滑り出しているようで何よりです。結構、結構(シャレじゃありません)四等分に騙された反動で期待値は想像以上に高い。瀬川ひろの性格も掴めましたし、今度は幸にスポットを当てて欲しいものですね。